労働災害とは何を指す?予防するための社内ルール

2018.11.12店舗の安全管理
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労働災害とは何を指す?
「労働災害」や「労災」という言葉を聞いたことはあっても、具体的にどのようなことを指すのかはよく分かっていないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、労働災害について理解していても、その発生を防ぐためにどのようなことをすれば良いのか分からない、という方もいらっしゃるかもしれません。

そこで今回は、労働災害防止の参考として、飲食店と建設作業場で起こる事故と、その事故に対しての具体的な予防策、労働災害が発生したときの対応などをご紹介します。

労働災害とは?

労働災害とは?
労働災害とは、従業員が業務中や通勤中、休憩中の出来事をきっかけに負傷したり、疾病を発症したりすることです。業務中の労働災害は「業務災害」、通勤中や休憩中の労働災害は「通勤災害」と大別されます。

労働災害に該当するケース

分かりやすい例で言えば、機械に指を挟んで怪我をしたり、熱い調理器具にさわってやけどをしたりといったケースです。このような作業中の怪我や事故のほかにも、店内やオフィス内を移動しているときに段差や階段につまずいて転倒した場合や、ドアに指を挟んで怪我をした場合なども、労働災害にあたります。また、残業時間や責任の増加などによってうつ病や適応障害などの精神障害を発症した場合も、労働災害に該当します。

通勤中に交通事故にあった場合や、休憩時間中に食事を取るために入った飲食店で怪我をした場合なども、労働災害として認定される可能性が高いといえます。そのほか、出張中や出張地へ向かう道中の怪我や事故なども労働災害とみなされます。

労働災害に該当しないケース

通勤中の怪我や事故は労働災害に該当しますが、通勤から大きく逸脱した寄り道を行った場合は、労働災害として認められなくなります。例えば、仕事終わりに仲の良い同僚と2人で飲みに行った居酒屋の店内で転倒し負傷。こういったケースは、たとえその居酒屋が通勤経路上にあったとしても、労働災害には認定されません。
ただし、個人的な飲み会ではなく、店舗や会社、事業部などで行う新年会や、取引先との接待といったものであれば、業務の一環とみなされ労働災害として認められます。また、日用品のお買い物や病院への通院などは、日常生活を送る上で必要な行為であることから、このような寄り道であれば労働災害の認定には影響しないとされています。

労働災害が発生したときは?

労働災害が発生したときは?
労働災害が発生したとき、現場の責任者はどのような行動を取るべきなのでしょうか。

業務時間中に従業員が怪我をしたり交通事故にあったりするなどの労働災害が発生した場合、負傷した従業員を病院へ連れて行ったり、場合によっては警察への通報などをしたりしなくてはなりません。
また、事故などへの一次対応が終わった後も、休業が必要な従業員の穴を埋めるシフト調整のほか、労働基準監督署で労災保険に関する手続きなどをする必要があるなど、労働災害の発生後に現場の責任者がやらなくてはならないことは数多くあります。

労働災害予防のための対策

労働災害予防のための対策
労働災害を予防するためには、どのような対策をとれば良いのでしょうか。ここでは労働災害予防対策のポイントを3つご紹介します。

労働安全衛生関係の法令を遵守する

労働災害予防の基本は、労働安全衛生関係の法令で事業者に対して義務付けられている措置を取ることです。
労働災害につながる恐れがある設備や危険物に関する「危険防止の措置」や、従業員の定期健診実施などの「健康管理の措置」のほか、安全衛生推進者や作業主任者の選任などの「安全衛生管理体制の整備」などの項目について、適宜対応しましょう。

安全衛生活動を実施する

労働災害の予防に役立つ安全衛生活動は、法令で義務付けられていること以外にもさまざまなものがあります。
例えば、作業中に発生した、事故につながりかねなかった事例を報告する「ヒヤリハット活動」や、作業中の様子を描いたイラストを見て危険箇所や危険行為を見つけ、それについて話し合う「KY活動(危険予知活動)」などです。このような危険に対する意識を高める安全衛生活動を実施することで、労働災害の予防につながります。ただし、業務の内容や場所が違えば、労働災害予防に有効な安全衛生活動は異なります。店舗や事業所ごとに発生の可能性がある事故について考え、予防策を考えることが大切です。

飲食店で起こる事故と予防策

飲食店で起こる事故と予防策

想定される事故

飲食店で起こる事故はさまざまです。例えば、転倒や切り傷、やけどや無理な動作による負傷などがあります。
特に発生数が多いのが転倒で、そのうち約半数が足を滑らせたことによる転倒事故です。飲食店の厨房は水や油などで床が汚れていることが多く、それらに足を取られての転倒が多く発生しているようです。また、できあがった料理や調理器具などを持っている状態で転倒すると大怪我につながりやすいため、転倒による労働災害の発生数増加につながっているとみられます。

予防策

実際の飲食店が取り組んでいる労働災害の予防策の例としては、床を撥水加工された滑りにくい材質に変えて転倒を予防する、狭い通路の死角にカーブミラーを置いて従業員同士の衝突を防ぐ、などがあります。
また、このような具体的な予防策のほかには、従業員全員が落ち着きを持って行動することも大切です。包丁の取り扱いに気をつけて焦らずに料理をする、お客様へお料理を運ぶときは転倒しないようにしっかりと歩く、などの基本的な心構えが事故予防の大きな礎になります。このような「事故予防の意識」はひとりでに身につくものではありません。店長や責任者の方が従業員に適切な教育をしましょう。

建設作業場で起こる事故と予防策

建設作業場で起こる事故と予防策

想定される事故

建設作業場は、作業員が扱う資材が大きかったり、取り扱う機器自体も操作に細心の注意を払う必要があるものだったりします。そのため、建築作業場は必然的に大事故の可能性が大きなエリアになります。
具体的な事故例としては、高所からの物の墜落、作業員の高所からの落下、作業員が機器に巻き込まれる事故、などが挙げられます。

予防策

こうした事故の予防策として、高所で作業する作業員は安全帯を着用する、重機が作業している間や荷物が昇降されている間は、関係者以外は作業場に近づかない、などのルールを策定するといったことが挙げられます。
ただし、ルールは作っただけでは意味がありません。作業員全員がルールを守って行動することが重要です。それぞれの現場に適した安全ルールを現場責任者が作り、それを作業員に遵守させることが、事故を予防する一番の方法なのです。

まとめ

今回ご紹介したような飲食店や建設作業場の例だけでなく、労働災害はどこの職場でも起こります。店舗のバックヤードの仕事でも、カッターを使っていて指を切ってしまったり、荷物を持ち上げたときに腰痛を発症したりと、事故の危険は至るところに潜んでいます。
もっとも大事なことは、従業員の「労働災害なんて自分には関係ない」という安易な思い込みを拭い去ることです。一人ひとりの事故予防の意識を育て、事故を未然に防ぐためにも、店舗ごとの労働災害に対するルール作りをしっかりと行いましょう。

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タグ : 労災 事故 防止 事故防止策 労働災害
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