危険マップとは?危険の見える化をしてスタッフの安全を守ろう!
2019.07.08店舗の安全管理極力事故が発生しないように店舗設計することはとても大切なことです。店舗での事故は物理的な損失はもちろんのこと、店舗の評判にも影響を与えます。
しかし、どれだけ安全対策を施した設計にしたとしても、「絶対に事故が起こらない」と言い切ることはできません。どんな店舗にも、事故が発生しやすい場所や作業は存在します。これらの事故を極力減らすためには、起こりうる事故の危険性を「見える化」することが大事です。
以下では、店舗に取り入れたい安全対策のひとつ、危険の「見える化」についてご紹介します。
危険の「見える化」とは?
店舗には、どうしても事故が起きやすい場所や作業があります。そのような環境では、危険があると分かっていても、ふと気を抜いたときに事故が起こってしまいます。
事故によって従業員がケガをすれば労働災害に、お客様がケガをすれば賠償責任問題になります。人的被害が発生しなかったとしても製品や設備に損傷が発生すれば、店舗の営業などに悪影響が出てしまいます。店内で事故が発生したことがお客様の間に広まれば、お店の評判が下がることも考えられます。
こうした事故を起こさないための対策として、「危険があることを意識する」ということが挙げられます。
しかし、勤務中にずっと危険のことを考えるわけにもいきません。そこで大切になってくるのが、危険の見える化なのです。
従業員の安全意識を高める「危険マップ」とは?
危険の見える化とは、起こりうる危険を分かりやすく明示するということです。では、具体的にはどのようなことをすれば良いのでしょうか。
そこで活躍するのが、危険マップです。
危険マップとは、見える化で明らかになった事故が起こりやすい場所とその事故内容を、店内マップに反映させたものです。労働災害などの事故を防ぐため、作成が推進されています。
過去に災害が発生した場所や、ヒヤリハット事例の多い場所などを書き込んでおくことで、店内のどの辺りが危険かをひと目で把握することができます。危険の種類別にマーカーを貼っておけば、さらに分かりやすい安全対策ツールになります。
危険マップの作り方は?
では、危険マップとはどのように作成すれば良いのでしょうか。
ここでは、手順を追って危険マップの作り方をご紹介します。
1.職場のマップを用意する
まず、職場全体のマップ(平面図)を用意します。マップがない場合は、新たに作成をしてください。
2.危険箇所や危険な作業を洗い出す
従業員参加の下、マップを見ながら危険箇所や作業を洗い出します。危険箇所とは、過去に労働災害などの事故が発生した場所だけではなく、従業員からのヒヤリハット報告が多い場所や危険予知活動(KY活動)やリスクアセスメントで注意が必要だという声が上がった場所なども含みます。
改めて、報告漏れしていた事故やヒヤリハットがないかどうかも、従業員に確認すると良いでしょう。
3.危険を回避するためにできることを検討する
それぞれの危険箇所について、事故の発生を未然に防ぐためにどのような点に注意すれば良いのかを話し合います。
4.マップ内の危険箇所にマーキングをしていく
危険への対応策が定まったら、マップ上の危険箇所にマーカー(標識のようなステッカー)を貼り付ける、マップ上に直接書き込むなどして危険マップを作成します。
5.マップにコメントを貼り付ける
続いて、3で検討した危険回避策を短い文章にまとめ、付箋などに書き、危険マップに貼り付けていきます。
危険マップの作り方は以上です。特別な道具は必要なく、職場のマップや付箋、ペンなどがあれば作成することができます。
厚生労働省のホームページなどでダウンロードできる、危険マップ用のマーカーを印刷して使用すれば、さらに分かりやすいものになるためおすすめです。
危険マップの活用方法は?
危険マップは、作成すること自体によって従業員の安全意識を高めることができます。
どのような場所に危険が潜んでいるのか、どのような事故が発生していてどのような被害が起きているのかを、改めて認識する良いきっかけとなります。作成した危険マップは、休憩所などのスタッフが集まる場所、目につきやすい場所などに貼って、より多くの人に見てもらうようにしましょう。日常的に目にする機会を増やすことで、従業員の安全意識を持続させるねらいがあります。
さらに、危険マップでマーキングをした場所に、注意を喚起する「危険ステッカー」を掲示するのも効果的です。
危険ステッカーとは?実用例をご紹介
危険ステッカーとは、人物が転倒する様子を描いたピクトグラムなどを用いて、危険を視覚的に訴えかけるステッカーのことです。厚生労働省のホームページなどから画像をダウンロードすることができます。
危険ステッカーのマークの下には、コメント欄が設けられています。このコメント欄に、どのような危険が想定されるのかや、危険を回避するための対応策などを書き込みます。特に重要な文や単語を太字や赤字にするなどして、ぱっと見で内容が分かりやすいよう工夫するとなお良いでしょう。
「●●注意!」などの文字のみで表示する市販のステッカーを活用するのもひとつの手です。
危険ステッカーの使用例
たとえば、床が濡れやすく転倒事故やヒヤリハット報告が多い場所や、つまづきやすい段差がある場所には、転倒するピクトグラムの危険ステッカーや、「転倒注意」「水濡注意」「足元注意」などの言葉が書かれたステッカーを設置して注意喚起をします。
目線の高さと、足元付近に掲示すると効果的です。
危険ステッカーと具体的な対策を併用する例
通路の出入口などで衝突が多い場合には、危険の「危」の文字を用いた危険ステッカーを目線の高さに掲示すると共に、出入口にミラーを設置して周囲の状況を把握しやすくします。台車が置かれていることに気がつかない人が、台車が衝突するような事故が多い場合には、台車を置く位置を明確化します。
このように、どこにどういった危険があるのか、どうすれば回避できるのかを分かりやすく示すことで、事故の発生を防ぐことができます。
まとめ
今回は危険の見える化を進めるために実施したい「危険マップ」の作成と「危険ステッカー」の掲示についてご紹介しました。
店舗にとって、安全対策は怠るわけにはいかないものです。危険の見える化を行えば、より安全に配慮した環境をつくることができます。いつも同じような事故が起きてしまう、安全対策が十分だと思えないといった場合には、危険の見える化を実践してみてはいかがでしょうか。