看板の設置時に注意すべきことは?事故予防のために定期的な点検を!
2018.11.26店舗の安全管理
店舗の看板は、集客のためには欠かせないツールですが、設置場所や設置方法によっては危険な事故が発生する可能性が考えられます。ですから、看板を設置する際には、看板を効果的に見せることだけでなく、安全面に配慮することも重要です。今回は、看板を設置する際の注意点などについてご紹介します。
看板設置時の注意点は?
新しい店舗をオープンしたり、看板を付け替えたりするため、店舗に新しく看板を設置することもあるかと思います。では、看板を設置する際には、どのような点に注意しなくてはならないのでしょうか。
まず法律や条例の確認をする
何よりも、最初に行うべきは看板設置に関係する法律や条例の確認です。
道路交通法、道路法、屋外広告物法などの法律と共に、店舗のある自治体の屋外広告物条例を確認し、看板を設置しようと考えている地域・場所が、看板を設置することができない「禁止区域」や「禁止物件」ではないことを確認しましょう。
地域や場所によっては、看板の設置を禁止はされていないものの、許可を得る必要がある場合も。このような場合は、許可申請の手続きについても確認をしましょう。
安全に配慮して設置を行う
看板の設置位置が法律を遵守したものであっても、お客様や通行人の方にとって安全なものでなければ意味はありません。強風や大雨などの悪天候時のことなどを想定した上で、看板の設置位置や材質などを決定しましょう。
看板事故が起きるのは、どんなとき?
看板は、基本的に屋外に設置するものですから、雨や風、日差しなどの自然環境にさらされることになります。そのため、時間が経つにつれて劣化が進み、落下したり倒れたりといった事故に発展するおそれがあります。
近年でも、「沖縄のアイスクリーム店で、台風のときに看板が倒壊した」「北海道の飲食店で、強風によって看板が落下し、通行人に直撃。意識不明の重体に陥った」などの報告があげられています。重大な事故の発生を防ぐため、安全性を見直したり、事故を起こしにくい看板を設置したりといった対策を行いましょう。
事故事例をご紹介
具体的には、どのような看板の事故が増えているのでしょうか。ここでは、看板落下の事故事例を3つご紹介します。
雑居ビル1階からの看板落下の事故事例
東京都内の繁華街で発生した、看板落下事故の事例です。
落下した看板は、雑居ビルの1階で営業していた飲食店の看板で、地上から約3mの高さに設置されていました。
この飲食店に女性が入店しようとしたところ、突然看板が落下し、女性は看板の下敷きに。看板はスチール製で、重量はかなりのものだったこともあり、女性は骨盤を骨折する重傷を負いました。また、女性を助けるため落ちた看板をどけようとした男性も軽傷を負ったそうです。
ビル屋上からの看板枠落下の事故事例
こちらも東京都内の繁華街で起きた事故事例です。
落下したのは看板そのものではなく、看板の枠(ステンレス製)の一部でした。看板が設置されていたのは10階建てのビルの屋上で、地上から約35mの高さ。
落下したもの自体は大きなものではありませんでしたが、高い場所から落下したこともあり、看板の枠の一部が当たってしまった通行人の女性は、軽傷を負いました。
ビル屋上からの看板落下の死亡事故事例
最後にご紹介するのは、神奈川県内の市街地で発生した、看板落下事故の事例です。
落下したのは、9階建てビルの屋上付近に設置されていた金属製の看板4枚。この看板が通行人の男性を直撃。男性は大量の出血などがあったため病院へ搬送されましたが、間もなく死亡が確認されました。
当時、日本列島に台風が接近していたため現場付近にも強い風が吹いていたとされていることから、風の影響で看板が外れ、落下したと見られています。また、落下した看板の一部にサビが見られたことから、ビル側の安全管理に不備があったのではないかともいわれています。
看板の種類別に見る、事故予防のための日常点検
看板と一口にいっても、壁面看板や袖看板、置き看板などさまざまな種類があります。それぞれ形状も設置場所も設置方法も異なるため、安全性チェックで見るべきポイントは種類によって異なります。ここでは、代表的な看板の種類を取り上げ、チェックポイントを見ていきましょう。
壁面看板
壁面看板とは、店舗の入り口上など建物の壁面に設置するタイプの看板のこと。視認性が高く、安価で設置できるため、大手チェーン店舗などで使用されています。
しかし、壁面看板の場合、劣化や風雨などによって落下事故が起きるおそれがあります。そのとき下に人がいたら、大変な事態になってしまうかもしれません。
落下防止のためには、日頃から目視で看板がズレたり破損したりしていないかを確認することが大切です。また、取り付けボルトが緩んでいないかなどの点検を、定期的に看板業者やメンテナンス業者に実施してもらうようにしましょう。
袖看板
袖看板とは、建物の壁面に突き出したような形で設置される看板のこと。突き出し看板とも呼ばれます。入り口が狭い店舗でも取り付けやすいというメリットがあるため、市街地の雑居ビルに入った店舗などでよく見られます。
袖看板で起こりうる事故としては、落下が考えられます。特に高所に設置している場合、強い風圧を受けやすいため、1つのねじが緩んだだけで看板が落下してしまうこともありえます。
周辺の壁にサビの汚ダレが見られる場合は、内部での腐食や破損が考えられますので、早めに補修を行いましょう。補修と共に、防錆処理を施すと劣化の進行を防ぐことができます。
降雪量の多い地域の場合、袖看板の上に雪が積もった際に接続部に圧力がかかり、看板の接続部の劣化が進むことも考えられます。雪が降った後は、看板の上も雪下ろしを行いましょう。
また、低所に設置したい場合には、通行人が頭をぶつけてケガをしないよう、屋外広告物条例の基準を守った高さに設置してください。
置き看板
置き看板とは、店舗の玄関部分や店舗から近い歩道や道路に設置される置き型の看板のこと。スタンド看板やA型看板などの種類があります。サイズや形がさまざまで移動させることも可能なので、気軽に使えるタイプとして人気があります。
置き看板を設置する場合、まず気をつけたいのは場所です。人や車の通行の妨げになる場所は避けましょう。また、傾斜がある場所に設置する場合には、安定性をしっかりと確認してください。
このほか、置き看板は、風や雨に弱く、吹き飛ばされたり倒れたりするおそれがあります。おもりを設置しておくほか、台風や強風、大雪などが予想される日には、屋内に入れるか、飛ばされないように固定しておきましょう。
電飾付きや内照式のスタンド看板を設置する場合は、電源コードの点検を定期的に行う必要があります。電源コードに傷ができたり、差し込みプラグ部分が破損したりすると、漏電するおそれがあります。漏電から火災が発生することもありますので、電源コードに異常がないかどうか、ホコリが溜まっている部分はないかどうかなどを目視でチェックしてください。
まとめ
看板は、店舗の顔ともいえるもの。法律違反で指摘を受けたり、看板が落下したり倒れたりして事故などが起きれば、お店の信用度も落ちてしまいます。設置する際には、視認性やデザインだけでなく法の遵守や安全面にも十分気をつけて、看板を有効に活用してくださいね。