万引きをさせないために!予防方法と対策は?
2018.08.13店舗の安全管理
店舗を経営していくうえで、注意しなければいけない犯罪が万引きです。万引きはさまざまな店舗で発生する身近な犯罪であるため、店舗の安全を確保するためには万引きをさせないための対策をしっかりと行う必要があります。
以下では、さまざまな万引きの手口や経営店舗ごとの予防方法と対策についてご紹介します。
万引き犯の年齢層
まず、万引き犯はどの年齢層が一番多いのでしょうか。警視庁生活安全部が公表している「高齢者による万引きに関する報告書」の、万引き犯の年代別内訳データを見てみましょう。
平成22年は成人(49%)、少年(30%)、高齢者(21%)、そして6年後の平成28年は成人(52%)、高齢者(29%)、少年(18%)の順となっていて、どちらも成人の万引き犯が約半数を占めていることが分かります。ただし、人口比からいっても成人の割合が最も多いのは、当たり前の結果ともいえるでしょう。
このデータの対比から読み取れる興味深い点は、高齢者と少年の割合が逆転し、高齢者の割合が21%から29%へと急増していることです。テレビや新聞のニュースなどでも高齢者による万引きについて報じられる機会が増えており、社会問題となっています。
高齢者の万引き犯が増えている背景として、認知症などによる認知機能の低下のほか、家族とのつながりが薄いことによる経済的・心理的なサポートを受けられていないことや、万引きによって捕まるリスクを甘く考えていることなどが要因として考えられています。
また同報告書には、平成28年に捕まった高齢者の万引き犯のうち、実に58.7%が過去にも万引きで捕まったことがあることも記載されています。高齢者万引き犯が増えている理由と同じように、高齢者万引き犯の再犯率が高い原因も、社会的なサポートの不十分さや逮捕されるリスクに対する認識不足などだとされています。
万引きの手口
万引きは店舗の損益に大きくかかわる犯罪であるため、対策を施さなければ損失に直結します。万引きのない安全な店舗にするためには、まず万引きの手口を知り、警戒できるようにしなければいけません。
よくある万引きの手口としては、以下のようなものがあります。
1)未精算商品を入れた買い物かごやカートをそのまま店舗の外に持ち出す
1つ目にご紹介する手口は、いわゆる「カゴ抜け」「カゴダッシュ」と呼ばれる万引き方法です。買い物かごの中に商品を入れ、普通に買い物をしているフリをしながら、レジを通らずにそのまま、もしくは荷物台で自分のカバンに詰めてからお店の外へ出ます。レジ袋の有料化によってエコバッグなどを使う人が増えたのに伴い、このような手口の万引きが増えたとされています。
2)店内を徘徊しながら死角を見つけ、カバンの中に商品を落とす
万引きしたい商品を手に持ったり、買い物かごの中に入れたりした状態で店内を歩き回って従業員の目が届かない死角を探し、カバンや洋服のポケットの中にその商品を入れるという手口です。上着のポケットにガム1つだけをこっそり入れるケースもあれば、口の大きなトートバッグ・エコバッグなどのカバンに、大量の商品をごっそり入れるケースもあります。
3)トイレや試着室などに商品を持ち込んで、カバンに入れたり着込んで持ち出したりする
まだレジに通していない商品を入れた買い物かごを持ったまま、トイレや試着室などの密室内にこもり、商品をカバンの中に入れて万引きします。洋服や下着などの場合は、試着室の中でタグを外してから自分の洋服の下に着込んでそのまま外に出る、といった手口でも万引きが行われています。
4)実行犯を数人で囲み、周囲から見えないようにする
万引きをしている様子を従業員に見つからないように、実行犯の周りを数人で囲んで人壁を作り、万引きする手口です。大勢の客でごった返すショッピングセンターや家電量販店などで、特に客足の多くなる時間帯や土日などの休日に発生しやすい万引き方法です。
5)店舗の外に待機している共犯者に商品を受け渡す
店舗の外で待機している共犯者のところに、実行犯がカゴ抜けしてそのまま一緒に逃走したり、トイレの窓から商品を受け渡したりします。実行犯が捕まったとしても、万引きした商品はすでにその場にはないため物的証拠がなく、釈放せざるを得ない状況になりやすい点が問題です。
6)おとりが従業員の注意を引き、その間に万引きを行う
1人が従業員に話しかけたり棚の商品をわざと崩したりするなどして注意を引いている間に、実行犯が万引きを行います。おとりが注意を引いている間にカゴ抜けや死角での万引きを行うなどなど、他の手口と組み合わせて行われることもよくあります。
万引きの手口は多種多様
このように、万引きといってもその手口はさまざまです。そのため、万引きをさせないための安全対策はしっかりと行う必要があります。
なお、前半の3つの手口は単独犯による万引きの手口ですが、後半の3つについては複数犯による組織的な万引きの手口です。
近年、外国人グループによる組織的な万引き行為が増えているとされています。このような組織的万引きでは高額商品が狙われることが多く、被害額も大きくなります。犯行も計画的なため現行犯で捕まえることが難しく、事前の予防が重要です。
万引きの予防方法
万引きを予防するための対策としてまずすべきことは、店舗の敷地内に死角を作らないということです。万引きは基本的に従業員の目が届かないところ、死角で行われます。そのため、ミラーや防犯カメラを設置して極力死角をなくすことが大切です。
また、簡単に実施できる安全対策としては、従業員による声かけがあります。入店の際にしっかりと顔を合わせて挨拶をしたり、店内を巡回中に声をかけたりしてお客様と積極的にかかわりを持つことで、万引き犯に対して「見られている」という意識を植え付けることができます。これにより、万引き犯にとって万引きしにくい環境ができあがります。
店舗別の万引き対策
店舗によって取り扱っている商品や陳列方法などは異なります。各店舗に合わせた対策を実施することで、万引き被害にあわない、より安全な店舗を作ることができます。
書店の万引き予防・対策
例えば書店の場合、書籍にICタグを貼り付けることで商品管理をするという取り組みが行われています。まだ全国的に普及しているわけではありませんが、これは万引きの予防につながると期待されています。
家電量販店の万引き予防・対策
家電量販店などのように展示品が多い店舗の場合、展示品を盗まれるケースがあります。こうした店舗では、展示品にリミット式センサーやループ式センサーを取り付けることで、盗難を察知することができるようになります。
ショーケースでの陳列を行っている店舗では、ショーケースからの万引きにも注意が必要です。ショーケースには鍵をかけるのが一般的ですが、ピッキングや鍵の盗難などにより解錠される危険性があります。そのため、扉が開けられたときに反応するセンサーを設置しておくことで、不審なショーケースの開放を察知できます。
まとめ
今回は、万引き犯の年齢層や手口、万引きに対する予防方法と対策をご紹介しました。
万引き倒産という言葉があるように、万引きは店舗の利益を大きく損なうものです。店舗の安全対策において、万引きは無視することができません。万引きの手口はさまざまですが、万引き犯に万引きをさせないために重要なことは、ミラーや防犯カメラを設置して「死角を作らないこと」と、お客様への積極的な声かけで「見られているという意識を植え付けること」です。万引き対策用の防犯グッズは数多く販売されているため、店舗に合ったものをお選びください。