抱っこ紐は危険?赤ちゃんと自転車に乗るのは法律違反になるのか
2019.04.08子どもとのお買い物Q&A赤ちゃんを連れてお買い物に行く際に、抱っこ紐を使うという方は少なくありません。そして、抱っこ紐を使用した状態で自転車に乗っている姿を見かけたことがある方も多いことでしょう。
しかし、抱っこ紐で赤ちゃんと自転車に乗るのは本当に安全なのか、法律で許されているのかなど、抱っこ紐での自転車についてはよく知らないことも多いものです。
以下では、赤ちゃんと抱っこ紐で自転車に乗ることについて、法律的にどう判断されるのか、どのように乗るべきなのか、どのような事故が起きているのかなどをご紹介します。赤ちゃんと一緒に自転車に乗ることを考えているなら、ぜひ参考にしてください。
抱っこ紐を使った自転車走行は法律違反?
自転車は身近な乗り物であり、気軽に使うことができます。しかし、きちんとしたルールを知らないままに乗っている方も少なくありません。
そもそも自転車は、人力によって運転する二輪以上の車のことで、道路交通法では軽車両に分類されます。そのため、自転車に関するルールは法律によって定められているのです。もちろん、法律違反が発覚した場合には罰則を受けることになります。
自転車のルールのひとつに、乗車人数に関するものがあります。原則として運転者以外にほかの人を自転車に乗せることはできないとされていますが、東京都では以下の場合は同乗させることが許されています。
ただし、同乗する幼児の年齢など詳細な規則は都道府県によっても異なるため、最寄りの警察署などで必ずご確認ください。
自転車に幼児用座席を設置している場合
幼児用座席を取り付けた自転車であれば、6歳未満の幼児を1人、幼児用座席に座らせた状態で同乗させることができます。自転車の荷台やカゴなど、幼児用座席以外の場所に乗せることは一切認められていません。
また、運転者は16歳以上に限られます。小中学生の子どもが、幼児を乗せて自転車を運転するのはいけません。
幼児2人同乗用自転車を運転する場合
幼児2人同乗用自転車では、16歳以上の運転者が運転する場合に、6歳未満の幼児を2人まで同乗させることができます。
おんぶ紐で赤ちゃん・幼児を背負って運転する場合
幼児用座席を取り付けていない自転車の場合では、おんぶ紐や抱っこ紐を用いて6歳未満の幼児を背負った状態であれば、同乗することが認められています。この場合も、運転者の年齢は16歳以上である必要があります。
ポイントは、「背負った状態」という点です。つまり「おんぶ」でなければ同乗は認められません。
道路交通法では、幼児の同乗について上述のように定められています。
ここで注目すべきは、許可されているのはおんぶのみだということ。抱っこの場合は許可されていないため、赤ちゃんや幼児を抱っこした状態での同乗は法律的に禁止されているのです。
また、おんぶ紐や抱っこ紐などの道具を使用しないおんぶ(素おんぶ)も認められていません。
抱っこ紐で抱っこをしての自転車走行は、ペダルを漕ぐ足が赤ちゃんにあたりやすい、赤ちゃんが動くとバランスが取りづらい、視界が妨げられやすいといったデメリットがあり危険です。子供の安全のためにも、法律を遵守するためにも、赤ちゃんや幼児と同乗する場合は幼児用座席に乗せるか、赤ちゃんをおんぶ紐・抱っこ紐でおんぶをして背負う必要があります。
赤ちゃんと自転車に乗る場合の注意点は?
上述したように、赤ちゃんを抱っこした状態で自転車に乗ることは法律違反となる行為です。近くのお店にお買い物に行くときや保育園・幼稚園への送り迎えなど、自転車を便利に利用できるシチュエーションはたくさんありますが、赤ちゃんや小さな子どもを乗せるときにはきちんとルールを守って乗る必要があります。
では、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか。
おんぶする場合は、都度おんぶ紐の調整を行う
赤ちゃんをおんぶして自転車に乗る場合は、必ず毎回紐の調整を行いましょう。
おんぶ紐や抱っこ紐を使用していても、しっかりと赤ちゃんの体がホールドされていなければ、万が一転倒した場合に赤ちゃんの体がおんぶ紐から飛び出してしまう可能性があります。逆に、過度にきつい状態でおんぶ紐を使用していると、赤ちゃんの気分が悪くなってしまうことがあります。
面倒に感じるかもしれませんが、赤ちゃんの成長やそのときの衣服の厚さなどに合わせて紐の調整を行いましょう。
年齢・身長・体重に合わせた幼児用座席を選び、シートベルトを使用する
幼児用座席に乗せる場合は、乗せる子供の年齢・月齢や身長・体重に合ったものを選ぶことが重要です。基準はメーカーや製品によって異なりますが、前方の座席は1歳~3歳、後方の座席は5歳までといった基準が一般的です。
また、乗車時はたとえ短時間・短距離の移動でも、必ずシートベルトをつけましょう。
ヘルメットを着用させる
幼児用座席に座らせるときはもちろん、おんぶで自転車に乗る場合にも、子供にはヘルメットを着用させるよう心掛けましょう。ヘルメットの多くは対象年齢が1歳以上となっていますが、サイズが小さめなものを選べば0歳でも着用できるものもあります。
慣れないうちはヘルメットを被るのを嫌がる子供も多いですが、自転車に乗る際は必ず被るよう習慣づけましょう。
無理をせず、安全運転を心掛ける
子供を乗せた状態で自転車に乗ると、重量が重くなりバランスを崩しやすくなります。通常時ならなんてことないようなちょっとしたアクシデントが、大きな事故につながることがあります。1人で運転するときよりもさらに、安全運転を心掛けましょう。
また、雨や雪などの天候の悪い日などは、転倒のリスクも高まるので無理な自転車運転は控えましょう。何よりも、子どもの安全が第一です。
油断したばっかりに起こってしまった事故事例
法律違反の状態で赤ちゃんや幼児と自転車に乗っていたばかりに、命に関わる重大な事故につながることもあります。
ヘルメットなしだったために頭部を強打した事故事例
1歳の子供を、自転車前方の幼児用座席に乗せて走行していた際に起きた事故です。
車道から歩道へと移ろうとして段差を乗り越えるのに失敗し、自転車が右方向へ転倒。座席に座っていた子供はシートベルトはしていたもののヘルメットを被っていなかったため、頭部をコンクリートの地面に強くぶつけました。
診断結果は右側頭骨骨折と頭蓋内損傷で、1週間入院することとなりました。
なお、この事故が起きたのは5月でしたが、5月~7月頃は幼児用座席付きの自転車事故の救急搬送件数が他の月に比べて増える傾向にあります。新年度の保育園や幼稚園への入園に合わせて幼児用座席を設置した自転車を使い始め、少し慣れてきた頃に事故が起きていると見られます。
抱っこした状態で転倒し子供を死亡させた事故事例
こちらは、1歳の子供を抱っこ紐で抱っこした状態で電動自転車を走らせていた際に起きた事故です。
雨が降る中、運転者の手首に傘を下げた状態で走行していたところ、傘が自転車の前輪の泥除けとフレームとの間に挟まり、ハンドル操作がきかなくなったことにより転倒したと見られています。自転車の転倒により頭を強く打った子供は搬送された病院で死亡が確認され、運転者は過失致死の疑いで書類送検されました。
まとめ
赤ちゃんと自転車に乗る場合、おんぶ紐でしっかりとおんぶをするか、幼児用座席に座らせなければ、法律違反となります。抱っこ紐で赤ちゃんを抱っこした状態で自転車に乗ることは法律違反になるだけでなく、子供の命に関わる事故につながりかねないため、絶対にやめましょう。
ただし、おんぶした場合や幼児用座席に乗せた場合でも事故は起こりえます。特に春先は事故発生件数が増える傾向にあるため、運転には十分注意をしてくださいね。