子供が自転車事故を起こさないためには?教えておきたい予防策について
2019.04.29子どもを事故から守るために子供がある程度成長すると、自転車に乗るようになります。小学生にもなると友達と自転車で出かけることも増え、一気に行動範囲が広がります。そうしたときに注意しなければいけないのが、自転車事故です。子供の自転車事故は多く、大きな事故に発展するケースもあります。こうした事故を起こさないためには、注意すべきことを親がしっかり認識し、子供と共有することが大切です。
以下では、子供が起こしやすい自転車事故やその注意点などについてご紹介します。
子供が起こしやすい自転車事故
子供が起こす自転車事故には、いくつか特徴があります。どういった事故を起こしやすいかを知ることで、対策も考えやすくなります。
警視庁が発表している統計によると、子供の自転車事故発生状況で最も多いのが出会い頭です。その割合は約70%で、左折時の11%、右折時の6%と比べると圧倒的に多いといえます。
また、事故の際に交通ルール違反があったかどうかについてはほぼ半々で、違反の種類としては安全不確認が約20%、一時不停止が約12%となっています。このほか、交差点安全進行や信号無視、ブレーキ操作不適、前方不注意といったものもあります。
こうした事故状況から、子供の自転車事故は飛び出しによる事故が多いことがわかります。
また、右左折する車の巻き込み事故も、子供の自転車事故では多く発生しています。子供は車が交差点でどういった動きをするのかわからないことが多く、またとっさの判断力も大人に比べて弱いといえます。こうしたことから、右左折車に巻き込まれるケースが多いのです。
もしも子供の自転車事故が起きたら
子供が自転車事故の被害者になったら
自分の子供が自転車事故でケガをし、相手に非がある場合は示談交渉をすることになります。相手に非があることが明らかなのにそれを認めない、治療費を払ってくれないなどのトラブルになった場合は、弁護士に相談をしたり賠償金請求を依頼したりといったことが必要になります。
子供が自転車事故の加害者になったら
逆に、自転車事故によって相手にケガを負わせてしまった場合は、治療費を支払わなくてはなりません。被害者が社会人で仕事を休まなくてはならなくなった場合は、休業損害などを支払う必要も出てきます。
子供の自転車事故事例
T字路で起きた自転車と車の事故事例
最初にご紹介するのは、T字路で起きた出会い頭の事故事例です。
自転車に乗った小学生男児が、住宅街の路地から車道へ飛び出し、車と衝突しました。車の運転手は路地の方向や路地の様子が見えるカーブミラーを見ておらず、加えて住宅街の近辺であることを知りながら速度調節をしていなかったために、ブレーキを踏むのが遅れたといいます。男児が友達と遊ぶため急いでいて安全確認を怠ったことも、事故の大きな原因といえるでしょう。
坂道で起きた自転車と歩行者の事故事例
こちらは下り坂で起きた、子供が加害者となってしまった自転車事故です。
小学校高学年の男児が自転車で坂を下っていたところ、散歩をしていた60代女性に衝突。女性は一命をとりとめたものの意識が戻らず、植物状態になってしまいました。
男児の保護者には、慰謝料や将来の介護費などを合わせて1億円近い賠償金の支払いが請求されたそうです。
車道への飛び出しによる自転車とバスの事故事例バスの前方に自転車が飛び出してきたため、バスの運転手が急ブレーキを踏み、バスに立って乗っていた乗客が複数名転倒。そのうち高齢者3名が重傷・軽傷と診断されました。
このように子供が乗った自転車が直接衝突しなくても、誰かにケガを負わせてしまうことがあります。
子供の自転車事故はなぜ起こる?
子供は視野が狭い
子供の視野は大人と比べるととても範囲が狭いというデータがあります。水平方向(横方向)の視野は、成人が150度見えているのに対して、6歳の子供では90度しか見えておらず、垂直方向(縦方向)の視野は成人が120度、6歳の子供は70度とされています。
つまり、同じ位置から同じ方向を見ていても、子供は大人の3分の2程度の範囲しか見えていないわけです。大人なら気がつく位置の自動車や歩行者に気が付かないことがあるのも、仕方ないといえるでしょう。
安全確認意識が低い
子供は遊びなどに夢中になると周りが見えなくなってしまいます。
実際に自転車事故を起こした子供から「友達を追いかけるのに夢中で周りを見ていなかった」「早く遊びたくて急いでいたからつい飛び出してしまった」といった意見がよく聞かれます。このように子供は安全よりも遊びや約束を優先させてしまいがちで、安全確認を怠りやすいことから、事故が起こりやすいといえます。
ながら運転や二人乗りなどの交通ルール違反をしてしまう
交通ルールを知らなかったり、自分の都合を優先させてしまったりといった理由で、交通ルール違反をしてしまうことがあります。
例えば、「自転車で走りながら、少し遅れることを友達にメールしたかった」とスマホを操作しながら運転したり、「歩いてきた友達も一緒に移動したかったから」と二人乗りをしたりといったことです。このような危険運転が事故につながることがあります。
子供が自転車事故を起こさないためには?
自転車安全利用五則を教えよう
子供が自転車事故を起こさないようにするためには、自転車に乗る際のルールや注意点をしっかり理解させることがまず大切です。
しかし、一度に多くのことを教えたとしても、子供がすべてを理解し覚えるのは難しいといえます。そのため、まずは安全教室でも習う「自転車安全利用五則」を教えるのがおすすめです。
自転車安全利用五則には、以下の5つの項目があります。
・自転車は原則として車道を走る、歩道は例外
・車道を走るときは左側通行
・歩道を走るときは歩行者優先で、車道よりを徐行する
・安全ルールを守る
・子供はヘルメットを着用する
こうした基本的なルールを自転車に乗り出した頃から教えておくことで、自然と安全運転ができるようになります。また、言葉で教えるだけではなかなか理解が難しいこともあるため、一緒に自転車に乗っているときに親が実践するなど経験で覚えられるように工夫しましょう。
事故を予防するためには自転車選びやメンテナンスも重要
このほか、子供の体の大きさに合った自転車に乗せるということも、事故を起こさないためには大切なことです。
消費者庁の発表によると、小学生が自転車でブレーキをかけた場合、ブレーキの幅が手の大きさに合っていないとブレーキが利き始めるまでの時間が0.14秒程遅くなるとされています。ごく短時間だと感じるかもしれませんが、時速15km程度で走行していた場合、自転車の停止距離は60cmほど長くなります。この差が事故につながることもあるため、子供に合った自転車を用意することには大きな意味があります。
加えて、ブレーキやライトの点検など、自転車自体のメンテナンスも定期的に行うことが大切です。
まとめ
子供は安全確認よりも自分の気持ちや欲求を優先してしまいがちで視野も狭いため、交差点やT字路での出会い頭事故が多く発生しています。
子供の自転車事故は子供がケガをするだけでなく、誰かに大きなケガを負わせてしまう危険もあります。被害者と加害者のどちらにもならないためにも、自転車事故の危険性についてはしっかりと共有しておきましょう。