漏水対策は初動が肝心!賠償責任は誰の問題?
2019.05.27緊急事態への対策店舗、特に水を使う設備が多い飲食店を経営していると、水漏れの被害に遭うことも少なくありません。漏水事故は早めに対策を講じないと、どんどん被害が広がってしまいます。
以下では、早期に漏水箇所を発見するための対策や、火災保険の補償についてご紹介します。
漏水対策は初動が肝心!
漏水が起きた場合、どのタイミングで漏水対策にあたるかで結果的にかかる手間やコストが大きく変わってきます。
「対処方法が分からないからとりあえず放っておこう」「営業時間が終わってから対処しよう」「拭き掃除しておけば大丈夫だろう」などと考えて放置してしまうと、被害は刻々と拡大してします。
漏水が拡大すれば店舗内の設備への影響も多くなりますし、多くの場合は漏水した分の水道代も支払わなければなりません。商業ビルやショッピングモールなどにテナントとして入居している場合は、階下の店舗にも影響が及ぶ可能性が高くなります。
漏水を発見したら、店舗の営業よりも優先して対処する必要があります。
漏水箇所を見極めるポイント
漏水対策を行う際、まず大切なのは最初に「水の種類」、つまり漏水箇所を確かめることです。
水の種類には大きく分けて、「給水(水道管で店舗に供給される水)」と「排水(店舗から下水道へ流す水)」の2種類があります。まずは以下の方法で、給水と排水のどちらで漏水しているのかを確かめます。
水の漏れ方から判断する
給水の水漏れの場合は、常に水圧がかかっているため水が出続けます。反対に排水の場合は、漏れたり止まったりと不規則な漏れ方をします。
ただし、建物の上の階では不規則な水漏れでも、水が床に染みわたることで下の階では常に水が出続けている、というケースもあるので注意が必要です。
水道メーターを確認する
製氷機なども含めて店舗内の蛇口をすべて閉めたうえで、水道メーターをチェックします。
水道メーターにあるコマ(パイロット)が回っている場合は、給水管のどこかで水漏れが発生しているということです。
この場合は水道業者に連絡して、給水管の修理を依頼します。業者が来るまでは、水道メーターのバルブを閉めておきます。
コマ(パイロット)が回っておらず静止している場合は、排水管のどこかで水漏れが発生していると判断できます。業者に連絡して、排水周りの修理の手配をします。
上述した2つの方法での確認は、特別な知識を必要としないため簡単にできます。異変を感じてからすぐに確認することで、その後の対策もスムーズになり、漏水事故の被害拡大を防ぐことができます。
漏水を早く直したい!水道工事業者を選ぶポイント
漏水した配水管を直すには、水道工事店(水道工事業者)へ修理を依頼しなくてはなりません。
ここでは、漏水修繕を依頼する水道工事店を選ぶ際に気をつけたいポイントをご紹介します。
地方自治体の指定を受けている水道工事店かどうかを確認する
水道工事店(水道事業者)には指定業者認定制度があります。水道法という法律で「給水装置が指定給水装置工事事業者の施工した工事に係るものであることを供給条件とすることが出来る」と定められているため、配水管などの給水装置の工事を依頼する場合は指定業者へ依頼しなくてはなりません。
指定業者以外の水道工事店によって工事がなされた場合、地域によっては条例により給水が停止され水道が使えなくなる場合もあります。水道が使えなくなれば営業が難しくなる場合も多いと思いますので、必ず指定業者を選んで工事を依頼しましょう。
なお、認定を行う自治体が、都道府県か市町村かは自治体によって異なります。
たとえば、東京都の場合は、武蔵野市以外は東京都水道局が認定を行っており、認定を受けた水道工事店は「東京都指定給水装置工事事業者」となります。千葉県や埼玉県の場合は市単位で水道局があるため、認定も各市の水道局が行います。
漏水箇所が特定できない場合は調査から請け負ってくれる業者を選ぶ
水の漏れ方を見ても判別がつかなかったり、すぐには水道メーターの確認ができなかったりする場合もあるかもしれません。このように漏水箇所が自分では特定できなかった場合は、漏水箇所の調査から請け負ってくれる業者を探しましょう。
漏水の賠償責任は誰が取る?
店舗で漏水が発生すると、自店舗や階下の店舗の営業や設備に支障をきたすこともあります。そのような場合、賠償責任を負うのは誰になるのでしょうか。
賠償責任を負うのがビルのオーナーになるのか、それとも店舗側になるのかは、漏水が発生するに至った原因によって変わってきます。
たとえば、配水管の老朽化によって漏水が発生した場合は、ビルのオーナー側に責任があると判断される場合が多いでしょう。これは、建物の修繕義務は貸主側にあるためです。
一方、排水管の油詰まりなどが原因で漏水した場合は、店舗側に賠償責任が発生する場合が多くなります。
飲食店など排水管へ油を流す可能性がある店舗の場合、定期的に高圧洗浄やグリストラップの清掃などを行わなくてはなりません。定期的にこのようなメンテナンスを行っていた場合でもそれが不十分だったために詰まりが発生していれば、賠償責任が発生します。
漏水事故は多くの火災保険で補償されています
漏水事故による店舗の損害は多くの火災保険で補償されていますが、加入する保険会社によって補償されていないケースもあります。そのため、漏水を見越して火災保険に加入する際には、しっかりと確認する必要があります。
漏水事故の補償対象となるのは、水道管や排水管、温水器などの建物内外の給排水設備に生じた事故による場合です。あくまで当事者の力の及ばない不測の原因によって起こる事故に対して補償されるため、たとえば設備の経年劣化による水漏れの場合などは補償対象外となることがあります。
また、シンクなどの店舗内の設備は給排水設備とは異なるため、店舗内の設備の不具合によって生じた水漏れも補償対象外となることがあります。上の階からの水漏れによって被害を被った場合は、給排水設備に関係なく保険金支払いの対象となる場合が多いようです。
漏水対策で火災保険に加入する場合、「水漏れ」と「水災」の違いにも注意が必要です。「水災」は、洪水や高潮、土砂崩れなどの自然災害のことを指しています。「水災補償」と書いてあるからといって、水漏れによる損害が補償されるわけではありません。
火災保険に加入する際には、こういった部分についてよく確認すべきです。
まとめ
今回は、飲食店などの店舗での漏水についてご紹介しました。
漏水が発生してしまった際は、ご紹介した2つの方法で漏水箇所を見極め、自治体の指定を受けている水道工事店へ修繕を依頼し、いち早く対応をしましょう。
賠償責任を負うのがビルのオーナーになるのか、それとも店舗側になるのかは漏水原因によって異なります。店舗側に責任が生じる漏水が発生しないよう、水道管の適切なメンテナンスを定期的に行うと共に、加入している火災保険が漏水事故への補償にも対応しているかどうかをチェックしておくことをおすすめします。