店舗責任者は知っておこう!店舗に設置しているAEDの使い方や点検管理

2020.07.19緊急事態への対策
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駅などでもよく見かけるようになったAED。近年は緊急事態に備えて、店舗にも設置されることが増えています。令和元年の消防白書によると、2018年中に一般市民がAEDを実施した傷病者の数は1,254人となっており、毎年1,000件以上AEDが使用されています。

もしものための安全対策として設置しておきたいAEDですが、その使い方を知らなければせっかくの備えが無駄になってしまいます。そこで今回は、AEDの使い方や定期的な点検についてご紹介します。

 

 

そもそもAEDとは?

AED(自動体外式除細動器)とは、ポンプ機能が失われた心臓に対して外部からの電気ショックを与え、正常な状態に戻すことを目的とした医療機器です。

2004年7月より医療従事者だけではなく、一般の方でも使えるようになりました。その影響から、現在は病院や救急車内だけではなく、空港やショッピングモールなどの人が集まる場所にAEDが設置されています。

 

AEDの重要性

心臓突然死の大きな原因として、急性心筋梗塞や心不全などの病気が挙げられます。これらの病気が発生することで、心臓が痙攣してしまい、ポンプ機能が失われます。心臓のポンプ機能が失われると、病気発生から1分経過するごとに救命率が7~10%低下するといわれています。

心停止した場合、1分でも早くAEDを利用した心臓蘇生を行うことで、生存退院率が上がります。処置が遅れてしまうと、脳の回復が困難になったり、最悪の場合は死につながったりすることも。多くの命を救うためには、AEDの普及、そして多くの人が正しくAEDを利用できるようになることが重要なのです。

 

AEDが必要なシチュエーションとは

倒れてしまった傷病者に利用するAEDですが、どのようなときに必要になるのでしょうか。

心停止ではなく、貧血やストレスなどによって倒れてしまうこともあります。貧血やストレスなど心停止以外で倒れている場合、AEDは不要です。

そのため、貧血などとの見分け方として、心停止した場合は「意識がない」「呼吸が正常ではない」この2つが挙げられます。声をかけても何も返答がない場合、呼吸に違和感がある場合は、AEDでの処置が必要です。

また、AEDが自動的に電気ショックによる処置が必要なのかを判断してくれるので、AEDのガイドに従うようにしましょう。

 

AEDを店舗に設置すべき理由

心停止は、いきなり起こります。お客様がお買い物中や食事中に起こることも考えられるでしょう。店舗の近隣にお住まいの方が倒れてしまい、AEDが必要になることもあるかもしれません。

AEDを設置することで、店舗の利用価値が上がり、施設自体の存在価値自体が大きくなるでしょう。また、AEDを設置することで、お店の社会的責任(CSR)の向上にもつながります。

 

AEDを用いた心肺蘇生の手順

安全対策としてAEDを用意していても、AEDを使った心肺蘇生の手順がわからなければ活用することができません。そこで、その手順について簡単にご紹介します。

 

1.倒れている方を見つけたら、意識を確認する

心肺蘇生を行う場合、まずは周囲の安全を確認し、傷病者の両肩を叩いて呼びかけるなどして反応を確かめます。脳梗塞などで倒れている場合は、左半身が麻痺していることがありますので、必ず両肩を叩くようにしましょう。

 

2.周囲の人に手伝ってもらう

次に、周囲にいる方(従業員やお客様)に救助のお手伝いを呼びかけましょう。119番通報をする人、AEDを探す人、心肺蘇生をお手伝いしてもらう人が必要です。1人で心肺蘇生を行うことは困難なため、必ず周りの方に手伝ってもらいましょう。

 

 

3.呼吸を確認し、胸骨圧迫を行う

胸と胸部を確認し、呼吸が正常でない場合は、胸骨圧迫を行います。

心臓マッサージによる胸骨圧迫を30回、人工呼吸を2回というサイクルを繰り返しましょう。人工呼吸のやり方が分からない場合や実施が困難な場合は、胸骨圧迫のみで問題ありません。胸骨圧迫のみの場合は、1分間に100~120回押します。

 

4.AEDが到着したら電源を入れ、パッドを装着

AEDが到着したら、フタを開けて電源を入れます。傷病者の服を脱がすか、ずらすなどして素肌に直接電極パッド2つ貼ります。素肌に貼れれば、AEDは機能しますので、無理やり服を脱がせる必要はありません。

 

5.心電図の解析と電気ショック

電極パッドを貼ると、AEDが心電図の解析を行い、電気ショックが必要かどうかを判断してくれます。AEDは、必ず音声ガイダンス機能が備わっているので、初めて利用する方でもガイダンスに従えばスムーズに進められます。

電気ショックが必要だと判断された場合には、ボタンを押して電気ショックを行いましょう。ただし、解析中や電気ショックを行う場合は、傷病者から必ず離れてください。電気ショック後も反応がなければ、引き続き救急隊が来るまで心肺蘇生を続けてください。

また、電気ショックが不要だと判断された場合には、傷病者の反応があればAEDを貼り付けたまま救急車の到着を待ち、反応がなければ心臓マッサージを再開します。

 

AED使用にあたっての注意点

AEDは、正しく利用しないと、きちんと効果が発揮できない可能性があります。ここでは、いくつか注意点をご紹介します。

 

胸元がぬれている場合や貼り薬には注意

胸元がぬれた状態で電極パッドを貼ってしまうと、十分な効果を得られません。傷病者の胸元がぬれている場合は、電極パッドを貼る前に乾いた布などで拭き取るようにしましょう。

また、湿布のような貼り薬にも注意が必要です。貼り薬の上から電極パッドを貼ってしまうと、効果が弱まってしまうだけではなくヤケドさせてしまう恐れがあります。必ずはがし、薬剤を拭き取りましょう。

 

 

ペースメーカーが入っている場合も使用して良い

傷病者の方がペースメーカーを使用している場合、埋め込まれている部分を避けて電極パッドを貼ることが推奨されています。ペースメーカーの少し下に貼るか、右胸用のパッドを左胸に、左脇腹用のパッドを右脇腹に貼ります。ペースメーカーが埋め込まれているのは胸の上部(鎖骨の下あたり)が多く、コブのように膨らんでいるか数cm程度の手術跡があるため、見た目で判別が可能です。

また、「ペースメーカーが壊れてしまうのでは?」などと考え、AEDの使用をためらうこともあるかもしれません。しかし、心停止が起こっている場合に最優先すべきことは、心臓を正常な状態に戻すことです。傷病者の方の命を救うため、電極パッドをずらして貼るなどしてAEDを使用しましょう。

 

体毛が濃い場合は剃毛してから

体毛が濃いと、電極パッドがうまく貼り付けられず、効果的に使えないことも。AEDには剃刀が付属している場合もあるので、それを使いましょう。

 

AED使用中には傷病者に触れない

AEDが心電図を記録しているときや電気ショックを流しているときは、傷病者に触れないようにする必要があります。必ず、傷病者から離れるようにしましょう。

 

女性への対応について

女性が倒れている場合、発見した方が男性だと、痴漢だと思われることを恐れてAEDの利用や心臓蘇生をためらってしまうかもしれません。しかし、心停止している場合は、男女関係なく一刻も早く救助する必要があります。できる限り女性の方に手伝いを呼び掛け、速やかに救助にあたるようにしましょう。

 

また、AEDを利用する場合は、服をすべて脱がす必要はなく、ずらすだけで問題ありません。電極パッドが素肌に貼られていれば大丈夫なので、電極パッドを貼ったら上からタオルやジャケットなどを掛けて隠しても大丈夫です。人垣をつくり囲って、他の人に見えないようにするのも良いでしょう。

 

AEDは定期的な点検も必要!

AEDの機械自体は半永久的に使うことができますが、バッテリーや電極パッドは消耗品であるため使用期限が定められています。期限が過ぎたものをそのままにしていると、いざというときにAEDが正常に動作しない可能性もあるため、安全対策のためには必ず定期的に点検を行いましょう。使用期限が近づくと、製造・販売会社から交換の案内がくることもありますが、店舗側でも期限管理をしておくと安心です。

また、AEDには正常に作動するかどうかを示す、インジケーターがついています。消耗品の使用期限と一緒に、正常に動くかどうかもインジケーターで確認しましょう。

 

店舗で管理するのが難しいという場合にはサポートサービスを活用したり、AEDの管理を委託したりといった方法もあります。こうしたサービスを利用することで点検を忘れることもなくなるため、不安であればご検討ください。

いざというときの強い味方であるAEDも、使い方がわからない、使用期限が過ぎているなどで、正しく使用できなければ安全対策にはなりません。店舗にAEDが設置されている場合には、使用方法の確認や定期的な点検をしっかりと行いましょう。

 

まとめ

心停止は、いつ起こるかわかりません。お客様がお買い物中や食事中に、心停止してしまうことも十分に考えられるでしょう。

もしものときに備えて店舗にAEDを設置することはもちろん、従業員が適切に対応できるように、救命処置訓練を受けることをおすすめします。また、設置しているAEDの定期点検も忘れないようにしましょう。

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タグ : 使い方 AED 点検
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