エレベーター閉じ込め時に役立つ防災備蓄ボックス
2019.06.24緊急事態への対策地震などの災害時、揺れや停電が原因でエレベーターが停まってしまい、お客様が中に閉じ込められる場合があります。すぐに救助できればいいのですが、状況によっては長時間にわたって閉じ込められてしまうことも。
そうしたときに、エレベーター内に「防災備蓄ボックス」が備え付けられていると、閉じ込められたお客様の負担を軽減することができます。
今回はショッピングセンターなどの店舗内エレベーターに備えておくべき、防災備蓄ボックスについてご紹介します。
「エレベーター防災備蓄ボックス」とは
防災備蓄ボックスとは、災害時に必要な物品がセットになっているもののことです。形状によっては、防災備蓄キャビネットとも呼ばれます。
以前から存在していた製品ですが、2005年に発生した千葉県北西部地震によって東京都内のエレベーター6万基以上が緊急停止し、78件の閉じ込めが発生したことや、2011年の東日本大震災によって全国で257件ものエレベーター閉じ込めが発生したことなどから、エレベーター防災備蓄ボックスのニーズがより高まっています。
あったら助かる!防災備蓄ボックスの中身とは?
エレベーターの防災備蓄ボックスとは、地震や停電によって閉じ込めが発生した際に活用できる非常用備品です。エレベーター内で長時間過ごすのに必要な物品がまとめられています。
カンテラや発光ライトなどの照明
停電時、狭くて暗いエレベーター内に閉じ込められたお客様は大きな不安を感じることとなります。不安を解消しエレベーター内での安全を確保するためにも、エレベーター内を明るく照らす照明器具は必須です。
こうした際には、一方向のみを照らす懐中電灯よりも、周囲を明るく照らすカンテラや発光ライトの方が適しています。ある程度の明るさを確保することでお客様に安心感を与え、パニックを防ぎます。
水・食料
長時間エレベーター内で過ごすことになれば、やはり喉が乾き、おなかが空いてきます。水や食料も優先度の高い防災用品といえます。
停電時は空調なども停まってしまうため、夏場であればエレベーター内はかなり暑くなることが予想されます。熱中症や脱水症状を防ぐためにも、飲料水は必要不可欠といえるでしょう。
簡易トイレとブランケット
我慢しようとしても限度があるのが生理現象です。閉じ込めが長時間にわたってしまったとしても、簡易トイレがあるだけでかなりの安心感があります。
自立するタイプの袋型トイレのほか、防災用品が入っているボックス自体がトイレになる製品などの便利なものも。
また、ブランケットやアルミシートがあれば寒さ対策になるだけでなく、トイレ時の目隠しにも活用できます。
ホイッスル
外部と連絡が取れない状態のとき、ホイッスルがあると簡単に「中に人がいるぞ」とアピールすることができます。また、救助隊との距離が遠くて聞こえづらい、衰弱していて大声が出せないといった状況のときにも、容易に意思疎通が行えます。
その他
このほかにも、災害情報を仕入れられるラジオやケガ人の簡易的な手当ができる救急用品、暑さ・寒さ対策になるうちわやカイロなど、閉じ込め時に役立つ物品はさまざまです。
防災備蓄ボックスを準備する際には、「何があったら助かるか」を考えて、中に入れる物品を決めましょう。
エレベーター防災備蓄ボックスの管理を忘れずに
防災備蓄ボックスをエレベーター内に設置した後は、定期的に中身の確認をするなどの管理をする必要があります。
では、具体的にはどのような確認・管理が必要なのでしょうか。
水・食料の賞味期限管理
必ず確認が必要なのが、水や食料の賞味期限です。
一般的な非常用飲料水や食料の多くは賞味期限が5年など長めに設定されていますが、有事以外利用することのない防災用品の賞味期限はあっという間に過ぎてしまうもの。定期的に賞味期限を確認し、余裕を持って新しいものに入れ替えをしましょう。
電池の入れ替え
いざというときにライトの電池が液漏れしていて、明かりが点かないとなれば大事です。電池式の照明器具やラジオなどをボックスに入れている場合には、定期的に中の電池の状態を確認し、一定期間で入れ替えを行うべきです。
ライトやラジオを電池式ではなく手回し式のものにすれば、こちらの管理は必要なくなります。
中身の確認・見直し
改めて防災備蓄ボックスの中を確認することで、中身の管理だけでなく、従業員の防災意識を高めることにもつながります。賞味期限をメモに控えて管理したり、ライトを手回し式のものにしたりしている場合でも、年に1回など期間を定めて、定期的に防災備蓄ボックスを開けて中身を確認することをおすすめします。
入っている防災用品に問題がないかを確認すると共に、他に入れておくべきものはないかなど、防災用品のラインナップについて改めて考えるとなお良いでしょう。
AED(自動体外式除細動器)の配置も検討
より万全を期すのであれば、防災備蓄ボックスだけでなくAED(自動体外式除細動器)も配置することをおすすめします。
AEDとは、心停止状態となっている人の心臓に皮膚の上から電気ショックを与え、回復を試みる医療機器です。医療機器ではありますが、2004年から医師以外の一般の人でも使用することができるようになったことから、駅や学校などの公共施設への設置が広まっています。
心停止後、時間が経過すればするほど回復の望みは低くなるため、1分1秒でも早くAEDを使用することで生存率が高まります。
エレベーター閉じ込め時以外の通常時にも、高層階へのAEDの運搬などに役立ちますので、防災備蓄ボックスと共にエレベーター内に配置しておくと安心です。
子どもやお年寄りでも利用可能に。いざというときのための備えをしよう
防災備蓄ボックスの形状は、キャビネット型や椅子型などさまざまです。中の物品とともに業者から販売されている場合もありますが、店舗側が独自に準備することも可能です。ほかの防災備蓄品とともに、水や食料の消費期限などに注意して、定期的に点検を行うことが大切です。
また、せっかく防災備蓄ボックスを設置したとしても、お客様に周知されていなければ意味はありません。エレベーター内には防災備蓄ボックスの存在や利用方法を案内板などで展示し、小さな子どもやお年寄りの方でもすぐに理解できるようにしておきましょう。
目が不自由な方でも取り扱えるよう、点字表記もあるとなお親切です。
まとめ
今回はエレベーター閉じ込め時に備えて用意しておきたい、防災備蓄ボックスについてご紹介しました。
エレベーターの閉じ込め事故は、どうしてもお客様に大きな負担を強いてしまいます。エレベーター内に防災備蓄ボックスがあれば、その負担を軽減することができます。
店舗はいざというときに備え、エレベーター内に防災備蓄ボックスを設置しましょう。