異物混入への対策は?食品を扱う店舗が心がけたい予防策
2018.10.08緊急事態への対策
テレビのニュースなどを見ていると、食品への異物混入が報道されることがしばしばあります。異物混入はお客様に不快な思いをさせるのはもちろん、食品加工会社からすれば会社の信用に関わる重大な事件であるといえます。
加工ではなく販売する側の店舗にとってはそれほど関係ないと考えることもありますが、生鮮食品を取り扱う店舗では自店で魚や肉の加工などを行うこともあるため、無関係であるとはいえません。そうしたことから、さまざまな店舗で異物混入対策が必要だといえます。
今回は、食品への異物混入への対策についてご紹介します。食品を扱う店舗の運営・管理に携わっている方は、ぜひチェックしてください。
異物混入とは?
異物混入とは、具体的にはどのようなことなのでしょうか。
まず、「異物」とは、本来はその中に入っているはずのないもののことを指します。
例えば、焼き魚の中に魚の骨が入っていたとしても、一般的には異物混入とはみなされません。魚自身の骨であると考えられるからです。
しかし、ケーキの中に魚の骨が入っていた場合は、異物混入となります。
食品の中に混入しやすい異物を、以下にまとめました。
髪の毛などの、作業者の体の一部
異物混入の例として最も発生しやすいのが、人間の髪の毛の混入です。調理中や配膳中に作業者の髪の毛が食品の上に落ち、そのままお客様へ提供されてしまうケースが数多く発生しています。
その他に作業者の体の一部が混入した例として、作業中の事故によって切断された作業者の指の一部が、食品に混入していた例なども報告されています。
虫などの、動物性の異物
小さな虫の混入例も多く報告されています。虫そのものに加えて、虫の卵や幼虫のほか、小動物の毛・糞などのような異物の混入例もあります。
紙などの、無機質系の異物
紙片や糸くず、木くず、プラスチック片、ガラス片、金属片などのような無機質物の異物混入もあります。特に、硬いプラスチックやガラス、金属などの破片が混入した食品をそのまま食べてしまうと、口の中を切ったり歯が折れたり、消化器の中が傷付き手術が必要になるなど、大きな怪我につながりやすくなります。
異物混入の事例を紹介
では、実際に発生した異物混入の事例を3つご紹介します。
【事例1】コンビニの弁当に髪の毛が混入していた事例
50代の男性がコンビニで購入した弁当の米飯の中に、長い髪の毛が混入していたが、気が付かずにそのまま途中まで飲み込み、喉が傷付いたそうです。病院を受診した上で、損害賠償請求についても弁護士へ相談したとのこと。
【事例2】スーパーの惣菜に虫が混入していた事例
母親がスーパーで購入してきた餃子を娘に食べさせたところ、虫が混入していて腹痛を発症。大事には至らなかったが病院を受診したそうです。
【事例3】レストランの食事に金属片が混入していた事例
30代男性がレストランで注文したステーキを食べていたところ、口の中に鋭い痛みを感じました。口から出して見ると、ホチキスの芯のような細い金属片が混入していたとのこと。軽傷だったため、病院にはかからなかったそうです。
異物混入の原因は?
加工工場や食料品売場で食品を加工するときは、異物が混入しないよう十分に注意しなければいけません。また、飲食店で調理をする際にも注意が必要です。
加工時に混入する異物の中でも代表的なのが、髪の毛と小虫です。
髪の毛が混入する原因
髪の毛が混入する原因は、2通り考えられます。1つは作業中に頭から抜けた髪の毛が、食品に混入すること。もう1つは、作業服などについていた髪の毛が、体を動かしたり風を受けたりしたときに落ち、食品に混入することです。
小虫が混入する原因
小虫の混入は、小虫が飛んだり這ったりして、鍋や皿・容器に入り込むことが原因です。外から持ち込んだ段ボール箱や野菜に小虫が付着している場合もあれば、作業者が出入りした際に室内に入り込む場合もあります。
第三者によって異物混入が行われることも
また、陳列されている商品に、異物を入れられるケースもあります。飲食店でも、サラダバーやスープバーなどに異物を入れられることがあります。
これらのケースは、悪意の第三者によって故意に行われる場合もあれば、小さな子どもなどが誤って異物を落としてしまう場合も考えられます。
異物混入の対策は?
食品を扱う店舗で異物混入を防ぐためには、どのような対策をとれば良いのでしょうか。
髪の毛混入への対策
髪の毛の混入対策は、まず帽子の着用から見直しましょう。調理をする従業員はもちろん、食品に関わる従業員すべてに帽子などを着用させ、作業中に毛髪が落ちないように心がけます。
また、作業場に髪の毛を持ち込まないように注意しましょう。そのためには、身だしなみのチェックを入念に行う必要があります。例えば、「着替える前にブラッシングする」「作業服に粘着ローラーをかける」といった対策が考えられます。
小虫混入への対策
小虫の混入対策も、基本的には小虫が入ってこられないような配慮が求められます。
作業場への出入り口を開けたままにしないことはもちろん、作業場へ段ボール箱を持ち込まないように注意しましょう。虫は段ボールに付着しやすいため、作業場の外で別の容器に移し替えることで、小虫が作業場へ入り込む数を減らすことが期待できます。
また、虫を見つけた場合はすぐに捕獲し、どこから侵入したのかを調べ、対策を講じましょう。
第三者による異物混入への対策
コンビニやスーパーなどの店舗では、陳列している商品に異物が混入されるという事件も発生しています。このような店舗では、食品加工時とはまた違った対策が必要となります。
一般的なスーパーマーケットで対策をとる場合、「店舗内を定期的に巡回する」「レジからの死角を作らないようミラーやカメラを設置する」など、犯行が行われないように監視すると良いでしょう。監視体制を強化することで予防することができるほか、実際に犯行が行われた場合に犯人の特定に役立てることもできます。
また、陳列されている商品の場合は針など細い金属が混入されることが多いため、定期的に検針器や金属探知機でチェックすることで異物混入による被害を防ぐことができます。
まとめ
食品への異物混入は、お客様にとっても店舗にとっても非常に大きな問題だといえます。髪の毛や小虫などの混入は、従業員の身だしなみや作業場でのルールを徹底することで、混入の機会を減らすことが期待できます。店舗側が注意することで異物が混入する危険性を大きく減らすことができるため、しっかりと対策を行いましょう。