ホームセンターやDIYショップの売り場に潜む危険とは?火災などの事故事例
2019.09.19売場の危険な場所
店舗にはさまざまなエリアがあり、それぞれで異なる危険が潜んでいます。例えば、近年出店が増えている大型のホームセンターや、店舗に設けられているDIYコーナー。
こうした場所ではどのような危険に注意し、お客様に安心してお買い物していただくためにどのような対策をすれば良いのでしょうか。
今回は、ホームセンターやDIYショップの売り場での危険についてご紹介します。
ホームセンターやDIYコーナーの危険エリア
ホームセンターやDIYショップにはさまざまな道具・工具・資材などが陳列されています。中には、取り扱い方法を間違えたり落下させたりすると、お客様のケガにつながるものもあるため、売り場の安全性には十分に気をつけることが肝心です。
では、具体的にどのようなエリアが危険なのか見ていきましょう。
大型の資材の転倒に要注意
ホームセンターやそれに準ずるエリアでは、工作に利用する大型の資材が販売されていることが多くあります。
こうした資材には塩化ビニールのパイプやプラスチックの板といった比較的軽いものもありますが、中には木材や金属材といった重い資材もあります。重い資材が倒れてきた場合、打撲や骨折などの可能性があるほか、打ちどころが悪ければ命の危険もあります。
そのため、こうした大型の資材に関しては固定したりロープを張ったりと、倒れてこないように注意しなければいけません。
床にむき出しになっている電源などの配線
ホームセンターなどの売り場では、照明や電動工具などを動かすために店内に多くの配線が張り巡らされていることがあります。
床の配線がむき出しになっている場合、お客様が足を引っ掛けて転んでしまう可能性があります。このような事故を避けるため、できるだけお客様が歩くスペースに干渉しないように配線することが大切です。
干渉しそうな場合は、天井から吊るす形で配線する、できるだけ出っ張りにならないような配線カバーを設置する、といった対策が考えられます。
展示されている工具類でのケガ
ホームセンターなどのエリアでは、実際に触れるように工具を展示していることもあります。工具の中にはには尖っているものや刃がついているものもあるため、こうしたものでケガをするケースもあります。
工具でのケガを避けるためには、展示品の工具の危険な部分にはカバーをしておく、店員を配置しておく、ショーケースに展示してお客様の要請に応じて取り出すといったことが考えられます。工具でのケガは大きなケガに発展することもあるため、十分に注意しなければいけません。
細かいパーツの落下
ホームセンターなどの陳列棚には、ボルトやビス、ナットなど小さなパーツが多く置かれています。区分けされた小箱などに入っているケースが多く見られますが、お客様の荷物が引っかかったり、手に取ろうとして小箱ごとひっくり返したりするとパーツが一斉に落下してくる可能性があります。
細かいパーツの落下による事故を防ぐためには、「陳列しているケースが動かないように固定しておく」「万が一落下してもケガをしないような高さに陳列する」などの対策を行うことが大事です。
大型カートによる衝突
店舗内では、大型カートに商品を入れて運んでいるお客様がたくさんいます。中には重たい商品や、ノコギリ・ハンマーなど落下するとケガにつながるような商品を運んでいる方もいるでしょう。そのようなカート同士が衝突すると、カートの商品が落ちてケガ人が出てしまうかもしれません。特に小さな子どもがいる場合は、目の高さにモノが当たる可能性もあるため、非常に危険です。
通路は広めにしておく、店内の見通しを良くしておくなどお客様同士がぶつからないような工夫をしておきましょう。
ホームセンター店内で起きた事故事例
ここでは、実際にホームセンターで起きた火災事故などの事故事例をご紹介します
【事例1 ボタン電池による火災】
2018年にあるホームセンターで火災が起こり、店舗が全焼する大事故がありました。原因は廃棄予定だったボタン電池からの出火。火災が起きる前に電池から火花が散っている様子もカメラに録画されており、電池同士の接触により大きな電流が発生したと見られています。
このように、廃棄予定のものであっても何が事故の原因になるか分かりません。特にホームセンターには火災の原因となるものが多くあります。売り場にあるものだけではなく、廃棄物の管理も怠らないことが事故防止につながるといえるでしょう。
【事例2 ベニヤ板の落下事故】
2019年、あるホームセンターで70代のお客様がベニヤ板を台車に乗せて運んでいた際に手が滑り、足の親指の上に落下。骨にヒビが入るケガをしました。被害者の方はその時の従業員の対応が不親切だったことを理由に、店側への損害賠償請求を検討しているといいます。
【事例3 金具の落下事故】
2018年、あるホームセンター内でカーテンレールを固定する金具が落下し、7歳の女の子が眼の中を切るケガをしました。女の子の家族は、店に見舞金を請求しました。
以上のように、店内ではどのようなことがきっかけで事故につながるか分かりません。仮にお客様の行動に原因があったとしても、店側の対応が悪いと責任を追及されることになりますし、最悪の場合は裁判沙汰になる可能性もあります。
ホームセンターで行うべき安全対策
店舗内での事故やケガを防ぐためには、具体的にどのような安全対策を行えば良いのでしょうか?
売り場の整理整頓
基本ではありますが、何がどこにあるのか一目で分かるように売り場を整理整頓しておきましょう。商品が雑多に置かれていると、落下の危険性などが高まります。営業時間中にも定期的に整理整頓を実施し、きれいな売り場をキープするよう努めてください。
また、売り場が分かりにくいと、お客様も商品を探すことに夢中になり周りが見えにくくなります。その結果、他のお客様との衝突につながるという可能性も考えられます。このようなことを防ぐためには、まずは商品を探しやすい売り場作りを意識することが重要です。
作業マニュアルの作成・周知
売り場をどのように整理整頓するのか、ケガをする可能性のある商品はどのように取り扱うのかなど、作業の手順や注意点などを記したマニュアルを作成することも有効です。従業員全員がマニュアルの内容を把握しておくことで統率がとれ、売り場の安全性を高めることができます。
KY活動やヒヤリハット報告の実施
KY活動(危険予知訓練)やヒヤリハット報告を行うことで、日常のどのような作業に危険が潜んでいるのか従業員同士が把握することができます。具体的に危険な事例を発見することで早期対策につながりますし、お客様だけではなく従業員の安全にもつながります。
非常時対応の訓練
万が一、火災や停電などが発生した場合に、従業員がスムーズに対応できるよう定期的に防災訓練を行うことをおすすめします。従業員どうして良いか分からずにいると、お客様も混乱してしまい最悪の場合死傷者が出てしまうかもしれません。
日常的な安全対策だけではなく、有事の際の安全対策もしておくと万全でしょう。
まとめ
今回ご紹介したように、ホームセンターやDIYショップの売り場には、さまざまな危険が潜んでいます。大ケガに発展しやすいものが多いため、お客様の安全には十分に気を配らなければいけません。安全な店舗にするためには、対策を施したからといって安心するのではなく、定期的に確認して安全が保たれていることを確認しましょう。