水濡れや台車の事故に注意!スーパーの食品売場の危険エリアと安全対策
2019.12.16売場の危険な場所食料品売場には、実は事故につながる危険が数多く潜んでいます。お客様に安心してお買い物いただくために、安全対策はしっかりと行うことが大切です。
以下では、スーパーなどの食料品売場で要注意の危険エリアとその対策、床の水濡れや台車による事故事例をご紹介します。
スーパーの食品売場の危険エリア
スーパーの食品売場は一見安全なように思えますが、実はお客様の転倒事故や接触事故などが起きやすいエリアの1つです。家族連れでお買い物されているお客様も多く、小さな子供が走り回って何かに衝突する危険性もあります。
では、食品売場には具体的にどのような危険エリアがあるのか見ていきましょう。危険である理由を把握した上で、対策を講じることが重要です。
危険① 野菜コーナーの床の水濡れ
野菜コーナーの床が品出しの際に出た水で濡れていると、お客様が滑って転倒する恐れがあります。
そのため、品出し後には毎回、床の水分をきちんと拭き取ることを徹底する必要があります。
また、お客様が商品を手に取ったとき、野菜についていた水が床に滴り落ちることもあります。野菜コーナーの床は小まめにチェックして、水濡れを放置しないことが大切です。
危険② 段ボール箱や台車を売場に放置
品出し用の段ボール箱やコンテナ、それらを載せた台車を売場に放置していると、お客様がつまずいて転倒する恐れがあります。
品出しはできるだけ営業時間外に済ませ、段ボール箱や台車を撤収してから、お客様をお迎えすることが大切です。もしも営業時間内に商品を補充しなければならない場合は、「陳列は集中して短時間で終わらせる」「段ボール箱や台車はお客様の邪魔にならない場所に置く」などの配慮を行うことが大切です。
危険③ 陳列フックの先端
グミやキャンディー、おつまみ、ふりかけといった袋入り商品を吊り下げる陳列フックは、要注意ポイントです。フックの先端が手前に飛び出しているので、お客様が商品を覗き込んだ拍子に顔に当たったり、すり抜けざまに身体をこすったりする恐れがあります。
怪我を防ぐためには、先端がゴム製のフックを使用するか、保護キャップで先端をカバーすると効果的です。
危険④ ショーケースの角
冷凍食品、アイスクリーム、精肉、ケーキなどのショーケースは、前面のガラスが角張っている場合があります。お客様は商品を探すとき、ガラス面に近づきすぎて頭や顔をぶつけることがあります。
そうした怪我を防ぐためには、前面のガラスが丸くなっているショーケースを選ぶことも大切です。
危険⑤ フェア・販促用の什器や装飾品
のぼり旗、タペストリー、装飾品など、フェア期間中や季節限定で店内に設置するものは、安全管理を見落としがち。狭い場所に無理に設置したり、一時的だからとその場しのぎの方法で設置したりすると、思わぬ事故を引き起こす恐れがあります。
- のぼり旗
お客様の進路を妨害しない、余裕のある場所に設置しましょう。のぼり旗を固定するための台が通路に張り出していると、つまずいて転倒する恐れもあるので注意が必要です。
- タペストリー
ポスターを吊り下げて掲示するバーやハンガーは、お客様の顔や身体に当たらない場所に設置しましょう。
バーの先端がお客様の方向を向く危険があるときは、サイズの合う保護キャップを用意して先端をカバーすると安心です。
- 装飾品やオブジェ
クリスマスツリーなどの装飾品やメーカー関連の人形などは、倒れたり落ちたりしないよう、安定感のある場所に設置しましょう。特に高い場所に飾るときは、セーフティワイヤーなどで固定すると落下を防ぐことができます。
食品売場で起きた事故事例
実際にスーパーやデパートの食品売場で起きた事故事例を見ていきましょう。
ここでご紹介するのはどれも特殊なケースではなく、どの店舗にも起こり得る事故です。事故の原因を理解して、安全対策に役立ててください。
冷凍食品売場での転倒事故
2011年2月、スーパーの冷凍食品売場の床が濡れており、買い物中のお客様が転倒。全治1カ月以上の骨折をする事態となりました。
洋菓子売場での転倒事故
2013年9月、デパートの食品売場で通路に散乱したケーキを清掃している最中に、通路を通りがかった高齢のお客様が足を滑らせ転倒。神経や脊髄を損傷する怪我を負いました。
台車につまずく事故
2013年5月、デパートの食品売場に運搬用の台車が放置されており、お客様がつまずく事故が発生。お客様は小指を痛めたため、治療費の支払いが発生しました。
スーパーの食品売場で行うべき安全対策
スーパーの食品売場で考えられる事故のリスクを抑えるためには、どのよう安全対策が有効なのでしょうか。
清掃を徹底する
食品売場の事故の中でも特に多く報告されているものが床面で足を滑らせたことによる事故です。滑りの原因としては水や汚れ、野菜の葉くずや皮、調理油などが床面に散乱していることが挙げられます。これらによる滑りを予防するには、徹底した床面清掃が重要になります。
食品売場の床面を清掃する際は、乾拭きだけではなく、水拭きも並行して行うことで汚れをしっかりと落とします。目安としては、靴で床をこすったときに音が鳴る程度まで清掃しましょう。
特に雨の日にはお客様の傘や靴から落ちる水によって、床面がいつもよりも汚れやすくなります。そのため清掃のスパンも短くし、より入念に行うことをおすすめします。
ディスプレイに安全対策を施す
食品売場の陳列に欠かせないディスプレイパーツの中には尖っていたり、角張っていたりと思わぬ事故の原因になり得るものが多くあります。例えば、ふりかけなどの小さな商品が掛かっているフック、生鮮食品などが陳列されているガラスケースの角などは、何かの拍子に頭部や目などをぶつければ大怪我につながります。子供が走り回って転倒し、勢いよく接触する可能性もあるでしょう。
このような事態を防ぐためには、フックや角にゴム製のカバーをつける、ショーケースを角のない円形のものにするなどの対策が有効です。
従業員への安全衛生教育を実施する
店舗内での事故を防ぐには、売場の床面やディスプレイなどの環境面の問題を解消するだけでなく、従業員の安全対策への高い意識が必要です。店舗内のどのエリアが危険なのか、なぜ危険なのか、どのような事故につながるのかなど店舗内で考えられる事故とその危険性、対策などについてまず周知しておきましょう。
安全衛生教育ができているかどうかで清掃に対する心がけも変わりますし、事故の危険性にも直接影響します。特にスーパーでは正社員だけではなく、アルバイトやパート従業員の方も多く働いているため、意識向上に積極的に取り組むことが重要です。
また、定期的な清掃以外にも、事故へとつながり得る危険性に気づいた場合は都度報告をしてもらうよう周知し、対策を怠らないようにしましょう。例えば、通路に物が散乱していないか、台車が放置されていないかなど意識的にチェックすることでお客様が不意にぶつかる事態を防ぐことができます。
あらゆるお客様が安心してお買い物できるような売場づくりをするには、従業員全員の安全意識がカギとなります。
まとめ
食品売場で起こった事故によってお客様が大怪我をした場合、治療費や賠償金の支払いが発生したり、社会的信用が下落したりといった事態になることもあります。事故の発生を防ぐためには、売場に潜む危険を未然に防ぐことでお客様が安全にお買い物できる売場を作ることが大切です。
スーパーの食品売場では、濡れている床で滑ったり商品のフックに接触したりなど、思いもよらない事故が発生することもあります。今回ご紹介した危険エリアを例に、食料品売場の安全を見直してみてはいかがでしょうか。