液晶テレビは転倒防止を!家電量販店・家電売場での事故対策
2020.02.03売場の危険な場所家電売場には、テレビや冷蔵庫、電子レンジ、空気清浄機などの、大きくて重い製品がたくさんあります。もしも、お客様が誤ってぶつかったり、地震が起きたりすると、それらが転落して大きな事故に発展する恐れがあります。
以下では、家電売場に潜む危険なエリアと、事故を防ぐための対策についてご説明します。
家電量販店・家電売場で起きた事故事例
まずは、家電量販店や家電売場で実際に起こった事故事例を見ていきましょう。
展示中のシュレッダーが転落した事故
ある家電量販店で高い場所に展示していたシュレッダーが転落し、30代のお客様の顔面に衝突。鼻に、全治3週間~1カ月の骨折を負わせる事態に至りました。
展示中の美容機器による皮膚障害が起きた事故
ある家電量販店にて50代のお客様が目元用の美容機器を試したところ、目の周辺が腫れあがった上、器具が触れていたほほ骨のあたりが陥没する皮膚障害を負いました。
ゴルフゲームの体験で商品を破損した事故
ゲーム売場でお客様の子供がゴルフシミュレーションゲームの体験版で遊んでいたところ、ゲーム用のクラブを展示中のテレビに当て破損させてしまいました。
子どもが転倒した金網の下敷きになった事故
ある大手家電量販店で、3歳の子どもが商品を陳列している棚の後ろにある金網に手をかけたところ、金網が倒れてきて子どもが下敷きに。救急車を呼ぶ事態となりました。頭部に外傷があったため、そのまま入院し精密検査をすることとなったそうです。
濡れていた床で転倒
天井の配管から水漏れしていたある家電量販店で、買い物中のお客様が濡れていた床で滑って転倒しました。
ホームセンターでの廃棄電池による火災事故
家電量販店や家電売場での事故ではありませんが、ホームセンターで回収した廃棄電池が原因の火災も起こっています。この火災事故では人的被害はなかったものの、2階建ての建物がほぼ全焼しました。家電量販店や家電売場でも廃棄電池の回収を行っている店舗は多いため、十分に注意が必要です。
家電量販店・家電売場で起きやすい事故とその対策
家電量販店や家電売場で起こりやすい事故は大きく分けて次のようになります。対策も合わせてご紹介します。
商品の落下
スペースやレイアウトの問題で高いところに商品を陳列している場合、棚にぶつかったり地震があったりなど何かの拍子で商品が落下する可能性があります。特に重たい商品の場合は大怪我につながることも考えられます。
このように商品の落下は頻度こそ高くないかもしれませんが、危険性は大といえるでしょう。
対策としては商品の固定が有効です。
展示商品を試した買い物客が怪我
展示商品を試したお客様が怪我をすることもあります。商品の種類としては、特にマッサージ機と美容機器の事故が多く見られます。
注意書きを目立つように表示する、従業員による案内(使い方の説明・自己責任ということ)を徹底するなどが有効な対策です。
展示商品を試した買い物客が器物破損
家族連れの買い物客の場合、子どもの悪ふざけなどによって商品が破損することもあります。
対策としては、できるだけ子どもの手が届かないよう配置に注意する、注意書きを目立つように表示するなどが挙げられます。
棚の転倒
家電売場に限らず、棚の転倒は重量が重いため危険度も高い事故です。対策としてはある程度の衝撃や力を加えても転倒しないよう、棚を固定することが有効でしょう。
床で転倒
家電売場には幅広い年齢層のお客様が来るので、お年を召した方や小さい子どもの転倒リスクを考える必要があります。
また、食品売り場などに比べると床が濡れているとは予想しづらいため、転倒しやすいともいえるかもしれません。対策としては、清掃や巡回(雨天時などの床面状態のチェック)を徹底することが挙げられます。
家電製品別の安全対策
家電売場にはさまざまな種類の家電があります。転倒・転落の危険性が大きいテレビや冷蔵庫など、それぞれの安全対策を見ていきましょう。
液晶テレビの転落は危険大!
近年はテレビの軽量化・薄型化が進んでいます。従来のブラウン管テレビはサイズが大きく重量も重たかったものの、底面の面積が広いため安定感がありました。一方の液晶テレビはモニター部分が薄くなったため重量は軽くなりましたが、安定感という点では不安要素があるといえるでしょう。
また、軽量化・薄型化したとはいえ、家庭用の一般的なサイズでも10~20kg、大きめのサイズなら30~70kgに及ぶこともあります。重さ数十キロのテレビが何かのはずみで転落して、お客様に当たれば、大ケガをする恐れがあります。
家電量販店や家電売場で液晶テレビの転落による事故を防ぐには、液晶テレビを壁や台に固定することが大切です。
テレビと専用のテレビ台を一緒に展示する場合は、ボルトなどで固定しましょう。テレビとテレビ台は、もとから固定できる仕様になっているものも多いので、製品の取扱説明書に従えば簡単に作業に取り組むことができます。
ほかにも、壁にヒートンを取り付け、ロープなどでテレビをつないで固定する方法もあります。このとき、ヒートンとロープの耐荷重に注意して、テレビの重量に合ったものを選びましょう。
冷蔵庫の転倒・移動を防ぐ!
冷蔵庫は、家電売場にある大きくて重い製品のひとつです。大型冷蔵庫だと、100kg近くになることも珍しくありません。床に直接置く冷蔵庫で注意するべきは、転落よりも「転倒と移動」です。
冷蔵庫が倒れると、お客様が下敷きになる危険があります。また、冷蔵庫は底にキャスターが付いている製品が多いため、地震の揺れで動きやすいという特徴があります。そのため、お客様にぶつかったり避難経路をふさいだりする、二次災害が起こる可能性が高いのです。
冷蔵庫の転倒や移動を防ぐには、底のキャスターをロックし、冷蔵庫そのものを壁に固定することが大切です。冷蔵庫の裏面にベルト通しが付いている場合は、背面にぴったり寄せて、冷蔵庫をベルトで固定しましょう。あるいは、壁にネジ止めする方法もあります。いずれの場合も、壁や柱に十分な強度があるかどうか、しっかり確認しましょう。
電子レンジなどの小型家電の転落を防ぐ!
電子レンジやオーディオ機器なども、転落すると事故につながる可能性があります。それらの電化製品を固定するには、耐震用のL字型ストッパーや、粘着マットを使うと便利です。
これらの場合も耐荷重量をしっかり確認して、固定したい製品の重さに合ったものを使いましょう。また、経年劣化によって固定力が弱まることもあるので、定期的にチェックすることも大切です。
展示場所のアドバイス
器具や安全対策グッズを使って家電製品を固定していても、お客様やスタッフが製品に強くぶつかったときや、地震の揺れが強いときには、外れ落ちる可能性もあります。万が一のときに、少しでも事故の被害を抑えるには、家電製品の展示場所がポイントとなります。
・大型テレビは高い位置に置かない(落下時のダメージを小さくするため)
・出入口付近や避難経路には、冷蔵庫のような大型の家電製品を置かない(経路の妨げになるのを防ぐため)
・窓ガラスの周辺に家電製品を置かない(ガラスが割れて飛び散るのを防ぐため)
まとめ
家電売場は、ほかの売場に比べて、大きくて重い製品がたくさんあります。液晶テレビを壁や台に固定する、家電製品の展示レイアウトを工夫するなど充分な安全対策を行い、事故や災害に強い売場づくりを目指しましょう。