従業員が怪我をした場合の対処法は?飲食店での事故事例をご紹介

2018.10.22売場の危険な場所
Pocket

従業員が怪我をした場合の対処法
職場で発生する労働災害は大きな問題になっており、これまで厚生労働省が中心になって、事故の軽減への注意喚起が呼びかけられていました。その結果、製造業や建設業といった大きな事故が発生しやすい業種に関しては、労働災害の発生件数は減少傾向になりました。

その一方で飲食業では、労働災害発生件数は年々増加の傾向にあります。飲食業における労働災害は全労働災害の4%と、突出して多いわけではありませんが、安全の見直しが叫ばれているなかで、決して軽視できる数字ではありません。特に、火や刃物を使う厨房には多くの危険が潜んでいます。

では、安全な厨房を実現するには、どのような対策をとれば良いのでしょうか。飲食店での事故事例と共に、従業員の怪我への対処法などをご紹介します。

飲食店ではどんな事故が起こる?

飲食店内で発生する事故への安全対策をするためには、まずどういった事故が発生しやすいのかを把握しましょう。そこで、厚生労働省が実施している労働者死傷病報告のなかから、飲食業からの報告件数が多い事故の内容についてご紹介します。

転倒

飲食店ではどんな事故が起こる?
飲食業における事故報告で最も多いのは「転倒事故」です。転倒が原因の事故は、報告事例の4分の1を占めています。

厨房での転倒事故の原因はさまざまです。
水や油などで床が濡れていて足を滑らせたといった床面の状態によって発生した転倒事故は数多く報告されています。また、元々床の材質が滑りやすい場合や、従業員が滑りやすい靴を履いている場合にも起こりえます。
さらに床に落ちていた保存容器や調理器具などに足を引っ掛けたなどのような障害物が原因で転倒事故が発生する場合もあります。厨房以外にも、ホールでもカートに足を引っ掛けるなどの、転倒事故が起こる可能性はあります。

切り傷

包丁などの刃物を使用する厨房では「手を切る」事故もつきものです。
包丁やスライサーで食材を切っている際中に不注意で手を切ることもあれば、洗い物をしているときに、皿や鍋などの影に紛れ込んだ刃物の存在に気がつかず手を切ってしまうこともあります。また、ガラスや陶器が割れた際に、破片で怪我をすることも。

やけど

やけどの原因としては、汁物を鍋から容器へ移す際にこぼしたり、熱いものを運ぶときに不注意から人と接触してしまったり、といったことがあげられます。ほか、オーブンを使用する際や揚げ物をする際にも、やけどの危険性があります。

ぎっくり腰

重いものを無理な体勢で持ち上げようとして腰を痛める、といった特定の動作による事故も発生しています。ぎっくり腰は一度なると繰り返し起こることも多いため、注意が必要です。

飲食店での従業員の事故事例

飲食店での従業員の事故事例
ここでは実際に発生した、飲食店での従業員の事故事例をご紹介します。

【事例1】油で汚れた床で滑って転倒した事故

最初にご紹介する事例は、揚げ物を調理していた厨房で発生した事故です。
従業員が調理した揚げ物を容器に盛り付けようとかがんだところ、足が滑り転倒しました。転倒の原因は床が油で汚れていたことと、靴に滑り止めがついていなかったことと見られています。
怪我により、従業員は2週間程度出勤ができなくなりました。

【事例2】従業員が自分の足元に圧力鍋を落とした事故

【事例2】従業員が自分の足元に圧力鍋を落とした事故
2つ目にご紹介する事例は、和食料理店の厨房で発生した事故です。
従業員が調理中に手を滑らせて、圧力鍋を自身の靴の上へ落としてしまいました。鍋は非常に高温かつ重たかったため、やけどと足の指の骨折という怪我を負う結果に。

従業員が怪我をした場合の対処法

従業員が怪我をした場合の対処法
では、店内での事故が発生し、従業員が怪我をしてしまった場合はどうすれば良いのでしょうか。ここではお店側の対処について考えていきます。

怪我の状況を確認し、必要があれば病院へ

従業員が怪我をした現場を目撃したり、報告を受けたりしたら、まずは怪我の状況を確認しましょう。意識がない、出血が止まらないなどの緊急性を要する状況であれば、迷わずに救急車を呼びます。

意識がしっかりしていて出血などの状況がひどくないようであれば、その場で休養させながら応急手当を行ってください。出血があれば清潔なハンカチなどを使用して止血を、やけどがあれば流水で冷やすなどします。そのうえで、できればその日のうちに、怪我をしたのが遅い時間帯であれば翌日でも良いので、病院へ行って受診させましょう。

治療費は労災保険で支払いを

就業中に発生した事故で怪我をした従業員が病院にかかった場合、治療費はお店側が負担することとなります。このとき、事業主が労災保険に入っていれば、治療費は労災保険で補償してもらうことができます。

補償を受けるためには書類による手続きが必要で、手続きは本人やその家族が行うこともできますが、お店側に非があるような事故の場合は、お店側で手続きを行うことが多いようです。

危険の見える化で安全対策

危険の見える化で安全対策
飲食店内での事故の発生を防ぐためには、常に事故の危険性を意識しておかなければいけません。しかし、事故の原因は目には見えにくいものもあるため、ふとしたときに忘れてしまうこともあります。そのため安全対策として「危険の見える化」をすすめることが大切です。

危険の見える化をするためには、危険マップや危険ステッカーを活用します。
危険マップは職場の平面図などに、事故が起こりやすい場所を記したものです。危険マップを誰もが目にするところに設置することで、危険な場所を意識しやすくします。
危険ステッカーは、危険内容を警告するステッカーのことです。事故が発生しやすい場所に貼っておくことで、注意を促します。

こうした危険の見える化によって、普段から目に見えない危険の可能性を意識することができます。危険があることを意識するだけでも事故の確率は下がるため、安全対策として導入を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回は、従業員の怪我につながる飲食店内での事故についてご紹介しました。
飲食店で発生しやすい転倒ややけどなどの事故。軽微な怪我で済むものもあれば、大きな事故につながる場合もありますので、速やかに110番や応急手当などの対応を行いましょう。
また、事故を予防するためには従業員の意識を高めていくための4S活動やヒヤリハット活動、危険の見える化などの対策が求められます。
従業員が安心して働ける職場となるよう、必要な安全対策を実施してくださいね。

高度な専門性と幅広い知識で商空間と住空間を演出

カタログダウンロード

タグ : 飲食店 事故 安全 対策 店舗づくり 注意点 厨房
Pocket