災害時の避難経路の安全は確保できている?もしもに備える店舗の安全対策
2020.04.06売場の危険な場所火災や地震といった災害が発生した場合など、お客様を安全に避難させなければいけないケースはいくつかあります。頻繁に発生する事態ではありませんが、もしもに備えておくことは大切です。
お客様を安全に避難させるため、店舗には避難経路が確保されています。しかし、その避難通路がしっかりと整備・管理されていなければ、スムーズな避難はできません。
今回は、もしもに備えた避難経路・避難通路の安全対策についてご紹介します。
避難経路の安全を確保しなくてはならない理由
そもそも、どうして避難経路の安全を確保する必要があるのでしょうか?また、避難通路がしっかりと整備されていないとどのようなことが起こるのでしょうか?具体的な理由についてご説明します。
避難の遅れにつながるから
まず基本的なことですが、避難通路に段ボールが積まれている、すぐに動かせないような重い設備を設置してあるといった状態だと、避難時の妨げになってしまいます。早く逃げる必要があるときにスムーズに通れないとなると、逃げ遅れる人も出てくるかもしれませんし、お客様たちに不要な混乱を招く恐れもあるでしょう。
火事や地震などの災害は、1分1秒が生死を分ける緊急事態です。避難通路には避難の妨げになるようなものは絶対に置かないなど、逃げやすい経路を整えることを心掛けることが重要といえます。
火事の拡大につながるから
避難通路に紙製品などの燃えやすいものがある場合、火が燃え移り火災規模が拡大してしまう可能性があります。廊下や非常階段など、普段あまり使用しない場所にはものを置きたくなるかもしれませんが、いざというときに火事を拡大させてしまっては元も子もありません。燃え上がるものを避けて通るのは至難の業のため避難の妨げにもなりますし、なおさら危険です。
避難経路上には燃えやすいものは置かないようにして、延焼の拡大が起きないよう整えておきましょう。
消防法違反になり、消防署の指導が入るから
避難経路の安全を確保しなくてはならない大きな理由に、消防法が挙げられます。消防法は、建築基準法とともに店舗のレイアウトを考える際に考慮すべき法律の1つです。
建築基準法では最低限人が通行できる通路幅が求められますが、消防法で求められるのは「避難経路としての安全が確保できている」こと。つまり、火事などが起こった際の避難経路が整備されていない場合は消防法違反になるのです。
実際に、避難通路に荷物などが積まれていることで被害が拡大するリスクがあるのはすでにご説明した通りです。もし避難経路となる場所に妨げになるものがあれば、消防署からの指導が入ることもあります。このように、避難経路の安全は消防法によって定められていることでもあるのです。
避難経路上に物を置いていませんか?
避難経路は、店舗のバックヤードなど普段お客様の目につかない場所を通るように設定されていることも珍しくありません。そのため、さまざまな物が置きっぱなしになっていたり、棚や机が設置されていたりすることがあります。このような物が避難経路上に置きっぱなしになっていると、避難経路の安全が確保されているとはいえません。
避難経路上に物があると、避難するお客様はそれを避けながら避難する必要があります。避難は落ち着きながらも素早く行わなければいけませんが、通路上に置かれた物を避けながらではスムーズな避難は難しいといえます。荷物にぶつかるなどすればケガをする可能性もあり、さらに避難が難しくなります。
また、地震や火災の場合、棚から物が崩れたり紙や布に燃え移ったりと、避難通路を通行できなくなってしまう危険性もあります。火災の拡大につながる可能性も十分あるでしょう。
こうした事態も考えられるため、もしもに備えた安全対策として避難経路上に物は置かないようにすべきです。
非常階段の滑り止めも重要な安全対策
2階以上がある店舗の場合、非常階段も緊急時の避難経路となります。この場合、非常階段の安全対策もしっかりと考える必要があります。
非常階段は店舗の外に設置されていることから、雨などの影響で滑りやすくなることが多くあります。緊急時に非常階段が滑りやすい状態になっていれば、避難の途中で別の事故が発生しかねません。そのため、安全対策として滑り止めを考えなければいけません。
滑り止めに関する商品は、滑り止めテープやコーティング剤などさまざまなものが販売されています。非常階段の形状や大きさ、素材といった条件に合わせたものを選びます。
ただし、非常階段に設置するタイプの滑り止め商品の場合、きちんと固定ができていなければ滑り止め自体がズレてバランスを崩す恐れがあります。非常階段の安全対策で滑り止めを使用する際には、こうした点にも注意が必要です。
避難経路のバリアフリー化はできていますか?
避難経路を整備する際に気をつけなければならないことに、バリアフリーの問題があります。
店舗を利用される方の中には高齢者の方や車椅子の利用者、障害者の方など、段差をすぐに登れない方や自力での迅速な避難が難しい方がいらっしゃる場合もあるでしょう。店舗によっては全体的にお客様の年齢層が高いところもあるかしれません。
東日本大震災では、65歳以上の高齢者や障害者の方の死亡率が高い割合を占めていました。自力避難が困難な場合もあれば、避難途中で逃げ遅れる場合もあります。人的な補助によって避難をサポートすることもできますが、1人1人に確実に対応できる保証はありませんし、サポートをするにしてもバリアフリー化されていることが望ましいでしょう。
具体的なバリアフリー化としては、段差や階段部分をスロープに変更するなどの段差の解消や手すりの設置、避難経路上への視覚障害者誘導用ブロックの設置などが挙げられます。手すりに関しては、段差が1段のみであっても設置することが理想です。
火事や地震などの災害時は、速やかに避難できるかどうかが命を左右します。どのようなお客様でもスムーズに避難できるように全力でサポートするためにも、避難経路のバリアフリー化を進めることが不可欠といえます。
まとめ
緊急時に使用する避難経路・避難通路は普段意識しにくい場所ですが、万が一のことを考えると安全対策を怠ってはいけません。避難経路上には物を置かないように従業員へ指導を徹底した上で、避難中の事故や逃げ遅れなどを防ぐために非常階段の滑り止めやバリアフリー化などの対策を実施し、もしもの事態に備えましょう。