専門家に聞く!ガラスの安全性②【売場のガラス】
2016.09.30専門家に聞く扉や窓を始めとして、ショーウインドーやケース、外装やパーテーションにも使用され、売場の華やかさや透明感を演出し、商品を引き立てるガラス。
最も特徴的な、光をふんだんに採り入れるというガラスの性質だけではなく、装飾性や省エネ、防犯などのさまざまな用途に合わせて多様な種類のガラスがあります。
しかしガラスの種類や危険性、取り扱い方法に対する知識は「透明なものとすりガラス」「割れやすく破片でケガをしやすい」「水拭きで汚れを取り除く」くらいしか思い浮かばないのではないでしょうか?
ガラスの専門家に、ガラスの特徴や正しい取り扱い方法、危険性などを聞いてみました。
さまざまな用途に合わせた多様なガラス
色や模様、厚みが違うだけではなく、さまざまな性質や機能を持った多くのガラスがあります。
店舗や住宅などで使用されている代表的なガラスは、以下のようなものです。
- フロートガラス
最も一般的な透明なガラスです。最近はこのままの状態で使用されることが少なくなってきています。
- 網入りガラス
ガラスにワイヤーが四角または菱形状に入っているため強度自体は従来の硝子に比べ弱くなりますが、破損時にガラス片の脱落を防止します。
- 強化ガラス
板ガラスに特殊な加工をして、強度を3~4倍にしたものです。割れた場合にも破片は粒状になり、ケガを防止します。
- 合わせガラス
ガラスとガラスを透明なフィルムで貼り合わせて作られ、強度は高く、割れた場合にも破片の飛散を防ぐ効果があります。
これらのガラスが、必要な強度や性能、用途に合わせて使い分けられています。
破損時にガラスが脱落しにくい網入りガラスは、火災時に炎が周りの建物に燃え広がらないように防火を目的として使用され、割れても安全性の高い強化ガラスは人が出入りする開口部などに使われます。
また合わせガラスは、ガラス飛散防止の目的のほか、防犯用ガラスとしても利用されています。
ガラスを取り扱う際に注意することは?
建物に立て付けられたガラスを、店舗の責任者や店員が外す機会はほとんどありませんが、棚板にガラスを使っている場合は、陳列の変更や棚替え、掃除の時に外すことがあります。
その際、ガラスは非常に重いということに注意し、万が一割れた場合のために手袋などをつけ、ゆっくりと持ち上げ、床に降ろす時にも安定した壁に斜めに立てかけるのが一番安全な方法です。
またガラスは特徴的な形状をしているため、角からコツンと床に当てると簡単に割れてしまうことがあります。床に置く時は端の平らな面を床にそっと置くことが大切です。
また、売り場をデザインする際には、人が多く往来する場所には割れても安全な強化ガラスや合わせガラスを使用するなど、意匠性だけではなく安全性を重視した選択をしましょう。
ガラスは劣化も少なく耐摩耗性に優れ、透明であるという他にはない性質を持っています。危険性を認識して正しい使い方をすれば、ガラスの魅力を存分に活かした空間づくりができるでしょう。
○ガラスの専門家
取締役 山田賢太郎さん、東京営業所長 足立和弥さん