雪かきのコツは?店舗でするべき雪対策とは
2020.01.13店舗内の危険事故地域によっては、冬季に雪が多く降るところもあるのではないでしょうか。
また、近年は天候の不安定さから、普段は降雪のない地域にも雪が降るケースが増えています。雪の対処に慣れていない店舗では、雪が原因でお客様や従業員が転倒するなどの事故が発生する可能性があります。
店舗ができる雪の安全対策にはどのようなものがあるのでしょうか。今回は店舗でするべき雪対策や雪かきのコツなどをご紹介します。
雪の日に店舗で起きた事故事例
雪というと「きれいなもの」「子どもが遊ぶ楽しいもの」といったイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。上記のイメージももちろん間違いではありませんが、雪はときに危険な事故の原因となることがあります。
ここでは、実際に雪が原因で起きた事故事例を見ていきましょう。
凍結した店外階段での転倒
ある店舗では、雪で凍っていた階段でお客様が転倒し怪我を負いました。
店外の階段ではあったものの、階段に設置していた融雪・凍結防止システムの温度管理を怠ったことなどに対して責任を問われています。
入り口マットでの転倒
あるスーパーマーケットでは、入り口に置かれているマットでお客様が転倒し、右ひざを骨折する大怪我をしました。
店内での転倒
あるスーパーマーケット店内で、60代のお客様が転倒し右腕骨折・右肩脱臼という怪我を負いました。
屋根から雪の落下
ある食料品店で、お客様が店内に入ろうとした際に屋根から雪が落下し、お客様の首部分に直撃。全治3週間以上の怪我を負いました。
落雪により車が損傷
あるドラッグストアでは、店舗内の駐車場にお客様が車を停めていたところ、店舗屋根からの落雪により車がへこむ事故が起こりました。
除雪後の砂利で転倒
あるホームセンターでは、除雪後に残っていた砂利が原因で原付バイクに乗っていたお客様が転倒しました。
降雪によって起きる危険と、店舗にできる対策
上記の事故事例にもさまざまなパターンがあったことから分かるように、雪が降り積もると雪崩や除雪作業中の転落、歩行中の転倒などさまざまな事故が起こりやすくなります。
降雪によって起きる危険と共に、店舗でできる対策を見ていきましょう。
雪が踏み固められて滑りやすくなる
雪道は多くの人に踏まれることで固くなり、スケートリンクのように滑りやすくなります。雪の量が少ない場合は、踏み固められた雪は透明な氷のようになるので、通行人が「そこに雪が積もっている」ということに気が付かず、不意打ちで滑って転倒する可能性もあります。
雪が積もった場合にできる限り早く雪かきを行うか、あらかじめ凍結防止剤をまくなどをして、路面が凍結しないように安全対策を行いましょう。
側溝や障害物の境目が分かりにくくなる
見慣れた景色でも、雪が降るとまったく知らない風景に様変わりしてしまいます。危険なことに、道路の境目なども分かりづらくなり、側溝やブロックなどの障害物の境目が見えなくなる場合もあります。
お客様が足をとられて転倒しないように、店舗周辺の道路の雪かきはこまめに行いましょう。また、側溝や障害物が分かりづらくなっている場所は、看板などで注意を促すなどの安全対策を行う必要があります。
屋根から雪が落ちてくる
降雪後、気温が上がると屋根などに積もった雪が滑り落ちてくることがあります。
通行人に落雪が直撃すると大怪我をする可能性もあるため、店舗は必要に応じて雪下ろしをするなどの安全対策を行いましょう。
店内の床で滑りやすくなる
注意するべき点は店舗の周辺だけではありません。雪が積もった道を歩いてきたお客様の靴底は、濡れて滑りやすくなっています。そのような靴の状態で店内に入ってきたお客様が、ツルツルした素材の床の上を歩いた際に滑って転倒してしまう危険性があります。
降雪があった日は、出入り口に靴裏の雪を落とすマットを用意し、お客様自身が転倒しやすくなっていることをアナウンスしてあげましょう。店舗の入り口付近は特に雪が吹き込んできて危険なので、こまめに清掃をすることも大切です。
駐車場でスリップ事故が起きる
滑りやすくなっているのは店内だけではありません。駐車場ではタイヤが雪にとられてハンドル操作が利かなくなり、スリップ事故が起こる可能性もあります。
駐車場内でスリップすれば、他に停めてある車やバイクにも被害が拡大する恐れもあるでしょう。
被害を抑えるためには、駐車場内の動線上に雪がない状態にすることが有効です。集めた雪はできる限り日の当たる暖かい場所に集めておくと早く溶けやすく、駐車場をきれいに整備することができます。
また、立て看板などでお客様には「急発進・急ブレーキ・急ハンドル」は控えるように周知しましょう。
雪かき・雪下ろし中の従業員が怪我をする
店舗周辺の雪かきや屋根に上っての雪下ろしなどの除雪作業中に、作業員が転倒・転落して大怪我をすることもあります。店舗の従業員が怪我をすれば労働災害となりますので、労働基準監督署への申請が必要です。また、該当の従業員が怪我によって通常通りの勤務ができなくなったり欠勤を余儀なくされたりといった場合は、不足人員の穴埋めが必要となります。
除雪中の事故を防ぐためには、後ほどご紹介する雪かきのコツと注意点を守るよう指導することをおすすめします。
雪かき(除雪・排雪)のコツと注意点
雪かきの際には気をつけるべきポイントがいくつかあります。
雪を捨ててはいけない場所
雪かきをすると当然雪を捨てる場所、置いておく場所が必要になります。しかし、交通の妨げになる公共の道路や排水の邪魔になる下水道、自然を汚す恐れのある川などには雪を捨てることが禁止されています。
雪かきで集まった雪は、敷地内の隅のほうに寄せておきましょう。雪が溶けやすいよう、できるだけ日の当たる場所に置くようにします。
雪かきのコツ
雪かきは思いのほか重労働です。できる限り体への負担を少なくするためにも、雪かきのコツを意識しながら作業に取り掛かるよう指導することをおすすめします。具体的には、以下のポイントを意識することが大切です。
・雪にできる限り近づく
・少量ずつ運ぶ
・体全体で持ち上げる
・重心を低くする
・雪の保管場所を決める
・無理は禁物
・2人以上で作業する
重心を低くし、雪にできる限り近づくことでより少ない力で雪を持ち上げることができます。片手はスコップの柄ギリギリを持つようにすると楽に力が伝わります。
また、一度に大量の雪を運ぼうとすると体への負担も大きくなるため、楽に持てる量を何回かに分けて運びましょう。
雪かきの最中は周りのことが見えにくくなるため、2人以上で作業を行い気候も含め周辺情報を報告し合いながら進めることがおすすめです。
雪かきで怪我をするケースも多く見られるため、ただの雪かきと思わずに万全の準備をし、決して無理のない範囲で行うよう努めてください。
めったに雪が降らない地域こそ、雪に対する安全対策を!
毎年雪が降るような地域の場合は、最初から降雪を予想した構造の店舗を設計していたり、スタッフやお客様も雪の対応に慣れていたりしているため、雪に対する安全対策がスムーズに行えます。反対に、普段めったに雪が降らない地域や都心部などは、降雪に対する安全対策に慣れておらず、雪による転倒などの事故が起こりやすくなっています。
店舗では、普段からスタッフに雪対策を周知するだけでなく、雪かき道具や凍結防止剤、注意喚起の看板を用意し、必要ならば警備員を配置するなどの安全対策を行う必要があります。
ときに雪は、大きな事故を引き起こす原因となる場合もあります。お客様やスタッフの安全を守るためにも、「たかが雪」と軽く考えるのではなく、しっかりとした安全対策を行いましょう。
まとめ
雪はときにさまざまな事故の原因となります。滑りやすくなっている店舗内や駐車場では、店舗側の安全対策不足でお客様に怪我をさせてしまうこともあるのです。
雪が積もりだしたらこまめに雪かきをし、事故が起こる可能性を少しでも低くしましょう。雪かきを行う際は、体への負担を意識し、複数人で行うことが大切です。
雪が降っている日や積もっている日でも、必要なものを買うためにお店まで来てくださるお客様はいらっしゃいます。雪かきなどの除雪作業や看板の設置などによる注意喚起を行い、雪の中足を運んでくださったお客様に安心してお買い物をしていただける店舗づくりをしましょう。