陳列方法のコツは?売り場で起こる子供の事故を予防しよう
2019.07.29店舗内の危険事故買い物中に子供が売り場でケガをする事故は少なくありません。お客様が安心して利用できる店舗作りのためには、子供の事故を未然に防ぐことが大切です。
以下では、買い物中の子供の事故やヒヤリハットの事例をピックアップして原因を探り、陳列方法のコツなどの子供に安全な売り場の作り方をご紹介します。
なぜ売り場での子供の事故は起こる?
ショッピングモールやスーパーなどの商業施設には、たくさんの子供連れのお客様が来店します。
そんな楽しいはずのお買い物を一転させてしまうのが、子供がケガをしてしまう事故や、もう少しでケガをしそうだったというヒヤリハット。どんなお店でもあってはならないことですが、なぜ売り場での事故は起きてしまうのでしょうか。
ここでは、売り場で子供の事故が起こる原因を考えていきます。
水漏れなどによる転倒
商業施設内で起きた事故の7割以上が転倒による事故という消費者庁のデータがあります。
転倒の原因としては、床が濡れていることによって足を滑らせるケースが多いとされています。雨の日に出入り口付近が濡れていたり、製氷機周辺が濡れていたりといった原因のほか、冷凍食品のショーケースやトイレからの水漏れもあります。
床に落ちた野菜の葉などを踏んで足を滑らせる、段差やデコボコした床面につまずく、台車などにつまずく、などの可能性があります。
子供は高齢者に比べると転倒時のケガは軽傷で済む傾向にありますが、店内を走り回っている際に転倒した場合などは、スピードがついているため大きなケガにつながることも考えられます。
ショッピングカートでの衝突・転倒事故
お買い物かごを乗せられるショッピングカートに関する子供の事故も数多く発生しています。
かごを乗せる部分に乗っていた、小さな子供がショッピングカートを押していたなどの、誤った使用方法による事故だけでなく、幼児用座席のベルトが破損していて機能していなかったなどの店舗側の不備が原因となって事故が起こることもあります。
ショッピングカートから子供が転落した場合、頭蓋骨を骨折するなどの大ケガにつながる恐れもあります。
危険な陳列方法
通路に飛び出すように設置された陳列棚やディスプレイに子供やショッピングカートが衝突したり、陳列フックやPOPなどに引っかかったりといったような、危険をはらむ陳列方法が原因となった事故です。
セールや催事のために普段はない位置にディスプレイワゴンを設置したり、商品を目立たせるために新しいPOPを設置したりした際に、事故が起きやすくなります。
子供が通る際に手や洋服などを引っかけて転倒する事故のほか、頭や顔に刺さるなどの重大事故にもつながります。
以下では、このような陳列方法が原因となって起こった、子供の事故事例をご紹介します。
事例① 商品陳列用のフックに頭から突っ込み、危うく目に刺さるところだった
【原因】
この事故の原因は、商品陳列用のフックが子供の顔の高さにあったこと。フックやフェイスアウトは目に刺さると危険なので、子供の顔の高さには設置しないほうが安全です。
【対策】
可能であれば、子供の目線の高さよりも高い位置に、フックの位置を変更しましょう。
位置の変更が難しい場合には、保護キャップの使用が有効です。手前に飛び出すフックやフェイスアウトパーツは、先端に保護キャップを装着すると安全性が高まります。
そもそもフックを使用しない陳列方法に変更するのも1つの手です。
事例② 子供が陳列棚につかまった拍子に棚が落ちてきた
【原因】
陳列棚を固定していなかったか、パーツが劣化していた可能性があります。子供の手が届く棚は、落ちたり倒れたりしないよう、特にしっかり固定しておくことが大切です。
【対策】
ブラケット(棚受け)に棚板を載せているだけでは、棚板がズレたり跳ね上がったりしやすくて危険です。棚押さえパーツで固定し、落下を防ぎましょう。
また、ブラケットそのものが外れることもあるので、ブラケット抜け止めパーツや抜け止め付ブラケットを使うことも安全な売り場作りにつながります。
事例③ ディスプレイに引っかかって転倒した
【原因】
ディスプレイが通路に張り出していたり、子供の進路を妨げていたりした可能性があります。
【対策】
大人ならまたげる台座や注意して避けられるコードも、小さな子供は引っかかってしまう場合があります。商品ディスプレイは通路の邪魔にならないよう、ゆとりのある場所に設置しましょう。
事例④ 子供の頭の高さにある陳列棚に激突し、角で頭を切った
【原因】
陳列棚の角に、ぶつかったときの備えをしていなかったと考えられます。
【対策】
子供がぶつかる可能性のある低い位置に陳列棚を設置する場合は、コーナーに丸みのある陳列棚を選ぶと安全です。
あるいは、角にクッション性のあるカバーを付けて事故を予防しましょう。
事例⑤ 人がぶつかった拍子に陳列棚の上から商品が落ちてきて、頭にケガをした。
【原因】
陳列棚の上という高いところに商品を置いているにもかかわらず、落下予防の措置を取っていなかったと考えられます。
【対策】
まず、安全な売り場作りのためには、高いところにものを置かないのが理想的です。陳列棚の上には商品を置かないよう、従業員への周知徹底やルールの見直しを行ってください。
どうしても商品や装飾品を置きたい場合は、底に粘着性セーフティクッションシールを張るか、棚板の端にこぼれ止めを取り付けるなどして落下を予防しましょう。
子供の事故が起こらないような売り場の作り方は?
売り場で子供の事故が起こるのを未然に防ぐためには、「子供の目線」で考えることが大切です。
3歳の子供と大人とでは、身長は50cm以上違います。目線の高さが違えば、大人なら気にもとめないような突起などが、大きな危険になることがあります。
「自分が危険だと感じる箇所はないから大丈夫」ではなく「背の小さい子供にとって危険かどうか」という視点で売り場作りをすることが大切です。
また、子供がどんな行動を取るかを考えることも、安全な売り場作りには欠かせません。
親がどんなに注意をしても、店舗内で走ってしまう子供はいます。他の商品に気を取られてよそ見をして、棚に激突してしまう子供もいるでしょう。
このような事故を想定し、棚の転倒防止をしたりコーナー部分にカバーをつけたりといった先回りの対策を取ることで、ケガの程度を軽傷に抑えることができます。
まとめ
売り場で起こる子供の事故事例とその原因、陳列方法のコツなどの店舗側でできる対策などをご紹介しました。
普段の心がけと小さな工夫で、事故のリスクはぐんと減らせます。子供連れのお客様に安心してお買い物を楽しんでいただけるよう、陳列方法を見直すなどの事故対策を徹底して、子供に安全な売り場を作りましょう。