飲食店の天敵!食中毒を予防するための対策

2019.04.01店舗内の危険事故
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飲食店の天敵店舗では、さまざまな事故が発生する可能性があります。特に飲食店にとって、食中毒は店舗の存続にも関わる大きな事故です。食中毒による事故を防止するためにも、店舗では細心の注意を払う必要があります。

飲食店での食中毒を防止するためには、食中毒について知り、その対策を考えなければいけません。以下では食中毒に関する細菌・ウィルスの特徴や、事故防止策についてご紹介します。

なぜ食中毒は起こる?

なぜ食中毒は起こる?食中毒の原因は、食品についた「細菌」や「ウィルス」です。
細菌は温度や湿度など好条件がそろってしまうと食品の中で増殖します。細菌がついた食べることで嘔吐や下痢などの体調不良を引き起こします。
ウィルスは、食品の中では増殖しないものの食べることで、体内で増殖。細菌と同様に嘔吐や下痢などの症状を引き起こします。

食中毒の原因となる細菌・ウィルス

食中毒の原因となる細菌・ウィルス食中毒の原因となる細菌やウィルスの種類は、さまざま。
細菌やウィルスの種類によって、どの食材に付着しているのか異なるため、食中毒による事故を防止するにはそれぞれの特徴を知っておくべきでしょう。そこで、主要な細菌・ウィルスをご紹介します。

黄色ブドウ球菌

動物や人の皮膚など広く分布していて、鼻腔や喉などにも存在する細菌です。主に傷口や化膿部位に多く存在しています。
そのため、手指に傷や化膿部位があるまま、直接食材に触ることで食中毒を引き起こすケースがほとんどです。

カンピロバクター

近年、食中毒の原因として増加しているのが、カンピロバクターと呼ばれる細菌です。
カンピロバクターは、あらゆる動物に分布している菌で、主に生の鶏肉から感染が多いといわれています。鶏肉の加熱不足や鶏肉を生で提供することが主な原因です。

ウェルシュ菌

土壌や人・動物の腸管などに生息する細菌です。
ウェルシュ菌による食中毒は、カレーや麺のつけ汁、魚の煮つけなど肉類や魚類の煮込み料理が原因となることがほとんどです。空気がなくても増殖するため、カレーのような粘度のある、煮込み料理は特に繁殖しやすいといわれています。

サルモネラ菌

サルモネラ菌は人や動物の腸内を始めとして、自然界のさまざまな場所に存在しています。乾燥や低温に強く、冬場にも注意が必要です。鶏卵や食肉類、その加工品から感染することが多くあります。

腸管出血性大腸菌

腸管出血性大腸菌食中毒でよく名前を耳にする「O-157」は、腸管出血性大腸菌の一種です。
腸管出血性大腸菌とは、病原性大腸菌の1つで、体内に入り込むことで下痢などの消化器官症状を起こします。

主な原因は、生の牛肉・牛レバー刺し・ハンバーグなどの牛肉がほとんど。これは、牛肉を生食として提供したり、加熱が不十分だったりしたことが原因だと考えられます。

腸管出血性大腸菌は、幼児や高齢者のような免疫力が弱い方に感染してしまうと後遺症が残ったり、重症化したりする恐れもあります。実際に、腸管出血性大腸菌による食中毒での死亡事例もあり、飲食店としてはできるだけ予防したい細菌の1つです。

食品からだけではなく、人から人へ感染する場合もあり、一気に感染が広がるケースもあります。

ノロウィルス

ノロウィルスは、ウィルス性の食中毒菌です。食中毒事故の主な原因として最も多い菌といわれています。カキなどの二枚貝に生息していて、人の腸管内でのみ増殖するという特徴があります。
また、ノロウィルスも、食品からだけではなく、人から人へと感染するウィルスです。食品を取り扱う人の手指から感染することもあり、さまざまなルートで感染する可能性があります。

食中毒による事故を予防するための対策

食中毒による事故を予防するための対策食中毒による事故を防止するためには、細菌やウィルスを「つけない・増やさない・やっつける」が基本です。これらを守るだけでも、食中毒による事故の発生確率を下げることができます。
ここでは、食中毒による事故を防止するための対策3つを詳しくご紹介します。

細菌・ウィルスが食材に付着しないようにする

1つ目は、細菌・ウィルスが食材に付着しないようにするということです。その方法として、こまめな手洗い、汚れの洗浄、厨房で使うものと他のフロアで使うものを分ける、といったことが挙げられます。
感染を防ぐためには、生の肉とサラダなどの生で食べる食材は一緒にしない、切る包丁やまな板を分けることも大切です。

また、食材を扱う前には手を洗いますが、調理中もこまめに手を洗うことが大切です。特に生ものを触った場合は念入りに手洗い・消毒をする必要があります。
調理や盛り付けをする際に、ビニール手袋またはゴム手袋をして素手で触れないようにするのも予防法の1つです。特に手に傷がある場合は、防水の絆創膏をした上からゴム手袋を着用して調理するようにしましょう。

この他にも体調が悪い場合、無理に調理に関わると食中毒の原因となる細菌やウィルスが食材に付着してしまう恐れがあります。調理に関わる従業員の健康管理も把握することも食中毒による事故予防につながります

温度管理を徹底して菌を増やさない

2つ目は、保存するときの温度管理を徹底するということです。食中毒の原因となる細菌・ウィルスは、一定以下の低温では繁殖しません。そのため、冷蔵庫は5℃以下、冷凍庫はマイナス18℃以下での保存が望ましいといえます。

また、ウェルシュ菌による食中毒を防止するため、カレーなどを作り置きする場合は、鍋で常温保存することは避け、平らなバットに移し、冷蔵庫で保存しましょう。再加熱の際は、よくかき混ぜながら鍋底にも空気を送るようにしてください。

殺菌をしっかりする

3つ目は、殺菌をしっかりするということです。
大体のウィルスや細菌は熱に弱いため、加熱する食品の場合、中心温度が75℃以上になるようにして1分間加熱すると、ほとんどの細菌・ウィルスを死滅させることができます。ただし、ノロウィルスを予防するには中心温度85℃以上と、より高温で加熱する必要があるため、食材によって必要な温度は変わります。また、食材だけでなく、調理器具に関しても使用後はしっかりと洗浄・消毒を行う必要があります。

この他に、人から人へと感染する可能性のある食中毒菌は、トイレからの感染が原因として考えられます。
例えば、お客様がトイレで嘔吐してしまった場合、消毒など適切な処理をしなければ、細菌やウィルスが付着したままの状態です。放置してしまうと次々に人に感染していく可能性があります。嘔吐してしまった場合は従業員に呼びかけてもらうように、トイレに張り紙を貼っておくと良いでしょう。嘔吐の処理については、処理セットが販売されているので、用意しておくと安心です。

また、従業員がコックシューズや調理用エプロンなどを着用したまま、トイレや外に出ると服や靴に菌が付着してしまう恐れがあります。そこから食材に汚染してしまうことも考えられるため、コックシューズや調理用エプロンを着用したまま、トイレを使用することなどは避けましょう。

食中毒による店舗への影響

食中毒による店舗への影響お客様が食中毒になった場合、その原因が店舗での飲食物だと病院や保健所から判断されれば、指導または処分を受けることとなります。

事故の大きさや状況によって異なりますが、口頭指導や、営業停止または営業許可取り消しなどの処分になる場合があります。

営業が再開できたとしても、食中毒が出たと噂が広まってしまうことがあり、店舗のイメージダウンにつながることも。特に複数の店舗を構えている場合、営業に関して大きな影響があると考えられます。
また、行政からの処分を受けるだけはなく、お客様から賠償金を請求される場合もあります。

食中毒による事故を予防するということは、お店を守ること、お客様を守るためでもあります。飲食店では、食中毒を予防することが義務付けられていますので、食中毒防止の対策はしっかりと行うようにしましょう。

まとめ

今回は、食中毒に関する細菌・ウィルスの特徴や、事故防止策についてご紹介しました。
食中毒は、調理した人の体調や手指、食品の扱いなど、思わぬところから発症することがあります。そのため、自分の店舗は大丈夫と思っていても、油断はできません。
食中毒は、特に夏や冬が増加しやすい時期ですが、それ以外の時期は全く食中毒が起こらないというわけではありません。
食中毒は年中起こる可能性があるため、毎日しっかりと対策することが大切です。

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タグ : 事故 防止 食中毒 特徴
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