ガス漏れに注意!飲食店でのガス事故を防ぐには?
2019.01.07店舗内の危険事故近年はIH調理器の人気が高まっていますが、飲食店の厨房ではまだまだガス機器が主流です。ガス機器は飲食店にとって欠かせないものではありますが、使い方を1つ間違えると火災や一酸化炭素(CO)中毒などのガス事故が発生するリスクを抱えています。ときには人命が失われる重大な事故となるケースもあるため、最大限の注意と対策が必要です。
以下では、ガス事故を未然に防ぐための対策や、万が一ガス事故が発生した際の対処法などについてご紹介します。
ガス事故が発生する原因は?
設備的原因
ガス事故の原因としてまず挙げられるのは、設備の不備や点検不十分といった要因です。
厨房内で使用していたガス機器が、元々の構造などに不備がある不良品だったことが原因でガス事故が発生することがあります。ガス機器自体には不備がなくとも、取り付けの施工に不備があったり定期的に行うべき点検や清掃を店舗側が怠っていたりしたために、事故が発生することもあります。
システム的原因
ガス機器などの設備に問題がなくとも、作業環境や保安管理体制の問題が原因でガス事故が起こることもあります。操作マニュアルの内容が不十分であったり、内容の伝達がしっかり行われていなかったりといったことも事故の原因となるものです。
人的原因
ガス機器を操作する人間が原因で、ガス事故が起こることももちろんあります。
操作ミスや判断ミス、そもそも正しい操作方法を知らなかったなどが主な事故原因です。あまり考えたくはありませんが、意図的ないたずらが原因でガス事故が起きることも。
ガス事故を未然に防ぐための対策
上記でご紹介した通り、ガス事故は主に換気不足やガス機器の手入れ不足、取り扱いミスなどが原因で発生しています。そして、そのほとんどは基本的な知識さえあれば未然に防ぐことができるものです。店舗のオーナーや店長、管理責任者は、従業員への注意喚起や教育などの対策を徹底しなければいけません。
以下では、ガス事故を未然に防ぐための対策を4つご紹介します。
1)換気の徹底
ガスが燃焼するためには、新鮮な空気(酸素)が必要です。仮に換気不足によって新鮮な空気が不足すると、不完全燃焼を起こし一酸化炭素(CO)が発生します。
一酸化炭素(CO)は無色・無臭であるため発生していても人が気づきにくく、少量でも強い毒性を持っているため重症になると死に至ることもあります。ガス機器を使うときには、必ず換気扇や換気装置が正常に作動していることを確認しましょう。
2)ガス機器や給排気設備の日々の点検・清掃
ガス機器の給排気口や換気設備の吸い込み口は、油やほこりなどが溜まりやすい場所です。油やほこりが溜まるとうまく給排気できなくなるため、ガス事故が起こりやすくなります。事故の発生を防ぐため、厨房のガス機器や給排気設備は定期的な点検・清掃を徹底すべきです。
3)ガス管の腐食にも注意
厨房内には、水分や塩分、酸といったものが多くあります。そのため、ガス管が腐食しやすい環境であるといえます。腐食が見つかったときはすぐにガス機器の使用を中止し、ガス事業者に連絡を入れてください。
4)警報器の設置
ガス漏れや一酸化炭素(CO)を検知するため、ガス警報器やCO警報器を設置することは、事故を未然に防ぐための対策として有効かつ重要な手段です。もしものときには、ランプと音で危険を察知することができます。
緊急時の対応は?
もしもトラブルが発生したときは、落ち着いて対処することが重要です。
ガス機器の使用中に異変を感じたときは……
ガス機器使用中に目がチカチカしたり、気分が悪くなったりしたときには、一酸化炭素(CO)中毒の恐れがあります。すぐにガス機器の利用を中止し、換気を行ってください。その後、ガス機器の販売店や機器メーカーに点検を依頼します。
ガス漏れが発生したときは……
不快な臭いがするなど、ガス漏れに気づいたときには絶対に火気を使用してはいけません。室内に充満したガスを換気するため換気扇を回そうと考える方も多いかもしれませんが、スイッチを入れた際に火花が飛んで、引火する恐れがあります。換気扇や電灯などのスイッチを操作するのも絶対にやめましょう。
ガス漏れの恐れがある場合は、すぐにガス栓を閉めて窓を開け、安全な場所に避難してからガス会社に連絡します。その間、厨房に他の従業員が近付かないように注意喚起を行うことも大切です。
地震が起きたときは……
ガス機器を使用しているときに地震が起きた場合、揺れが収まってからガス機器の栓とガス栓を閉めます。LPガスを利用している場合は、屋外の容器バルブも閉めます。
地震後に改めてガスを使用する際には、ガス栓を開く前にガス臭くないかよく確かめてください。
飲食店でのガス漏れによるガス事故の事例紹介
ここでは、実際に飲食店で発生したガス事故の事例を3つご紹介します。
事例1)ガス漏れによる火災事故でお客様が負傷した事例
飲食店でガス漏れによる火災が発生し、お客様1名が軽傷を負った事例です。
LPガス容器と接続していた器具の付近でガス漏れが発生。その後コンロを使用しようとした際に着火したものと推測されています。
事例2)ガス漏れによるガス爆発事故で従業員2人が負傷した事例
飲食店でガス漏れによる爆発事故が発生し、従業員2名が軽傷を負った事例です。
爆発が起きたのは、餃子を焼く専用機械に点火しようとしたタイミングでした。何らかの原因でLPガスが漏れて厨房内に滞留していたため、ガス爆発が起きたと見られています。
事例3)ガス漏れによる火災事故で厨房設備や壁が焼損した事例
飲食店でガス漏れによる火災事故が発生し、ガス機器や厨房の壁の一部が焼損した事例です。
ガス漏れの原因は、2口ヒューズガス栓のうち使用されていなかったガス栓が誤って開放された状態になっていたところに、五徳などを置いてしまったことだったと推定されています。これによりヒューズ機構が正常に作動しなくなったため、わずかなガス漏れが発生し、コンロの火に引火したと見られています。
引火の原因や被害状況はさまざまですが、3つの事例に共通しているのは「ガス漏れに気が付かず点火しようとした、火気使用を続けていた」ということです。実際の詳しい事故当時の状況は分かりませんが、ガス警報器が設置されていて正しく作動していればこれらのガス事故は未然に防ぐことができたかもしれませんね。
まとめ
今回は、ガス漏れなどの飲食店で起こり得るガス事故について、発生原因や安全対策、事故事例などをご紹介しました。
ガス機器の点検不十分や従業員の誤操作といった原因で、ガス事故は発生しています。事故の発生を防ぐため、定期的なメンテナンスの実施や従業員へのガス機器の取り扱いについての周知を徹底しましょう。また、万が一ガス漏れが発生した場合に備えてガス警報器などを設置することも重要です。