エスカレーター事故から子供を守るために。事故事例と注意ポイントをご紹介
2020.07.25買い物中の事故・災害 , その他大人にとっては使い慣れたエスカレーターも、子どもにとっては危険がいっぱい。エスカレーターでは多くの事故が発生しており、巻き込まれると大怪我を負うこともあるため、子どもであればなおさら被害に遭わないように気をつけたいところです。
今回は、よくあるエスカレーター事故を取り上げ、大切な子どもを守るための事故予防策についてご紹介します。
エスカレーターには危険がいっぱい
子どもの視点から考えてみると、エスカレーターにはさまざまな危険があります。例えばエスカレーターにうまく乗れずに転倒したり、靴紐が挟まれたり、手すりから乗り出して天井に頭をぶつけたり、落としたモノを拾おうとして指を挟まれたり……。
こうしたエスカレーター事故は、時には指の切断や骨折などの大怪我に発展し、最悪の場合には命を落とすケースもあります。また、子供本人だけでなく周りの方を巻き添えにしてしまうことも考えられます。巻き込んでしまった相手がお年寄りや小さな子供の場合は重症化しやすく、多額の損害賠償(慰謝料)が発生する可能性もあります。
悲惨な事故を防止するためにも、子どもには普段からエスカレーターの危険についてしっかりと教え込むことが大切です。
エスカレーターで起きた子供の事故事例
ここでは、エスカレーターで子供が負傷した事故の事例をご紹介します。
エスカレーターのステップに足の指が巻き込まれた事故事例
2007年8月、3歳男児が商業施設内のエスカレーターに乗っていたところ、右足のつま先がエスカレーターのステップと側壁の間に巻き込まれ、右足の人さし指、中指、薬指の爪が剥がれるという大怪我を負いました。男児は甲が隠れるタイプのサンダルを履いており、サンダルがすき間に巻き込まれたことが原因と見られています。
エスカレーターの手すりと保護板に頭を挟まれた事故事例
2007年10月、商業施設内の上りエスカレーターにおいて小学校3年生の男児が手すりとエスカレーター上部の保護板の間に頭を挟まれる事故が起きました。男児はエスカレーターに乗っている際に下のフロアに硬貨を落としてしまい、手すりから身を乗り出してのぞき込んでいたため、頭を挟まれたものと見られています。男児は意識不明の重体となりましたが、3日後には意識を取り戻し、8日後には退院しました。
子供のエスカレーター事故を予防するための注意ポイント
エスカレーター事故を予防するために子供に伝えておきたい注意ポイントとしては、以下のようなものがあげられます。下記の注意点について日頃から言い聞かせ、マナーを守って利用するよう教えましょう。
注意ポイント1「黄色い線を踏まない」
エスカレーターのステップの端3辺もしくは4辺には、黄色い線が引かれています。この黄色い線を踏んで乗ってしまうと、靴や靴紐が挟まれたり、指が巻き込まれたり、転倒したりといった危険性が格段に上がります。エスカレーターに乗るたびに、子供に対して黄色い線を踏まないよう注意をしましょう。
注意ポイント2「手すりにつかまる」
エスカレーターでは上から人やモノが落ちてきたり、緊急停止したりといった事態が発生することもあります。そうしたときにバランスを崩して転落・転倒しないよう、手すりにしっかりとつかまるよう教えておきましょう。
注意ポイント3「樹脂製サンダルは事故リスクが高まる」
2000年代後半頃に流行した、足の甲まで覆う形の合成樹脂製のサンダルを履いた子供のエスカレーター事故が多発しています。このサンダルでの事故が多い原因としては、素材がやわらかく伸びやすいため、エスカレーターのふちに巻き込まれやすいためだとされています。
黄色い線の内側に立って安全に利用していれば事故は防げますが、事故が起きる可能性が高まることは認識しておきましょう。
注意ポイント4「裾の長いズボンやスカート、ロングマフラーなどもNG」
裾などがエスカレーターに巻き込まれやすい服装も危険です。巻き込まれた場合に、転倒したり首が絞まったりといった事故が起こりえます。マフラーはエスカレーターに乗る際には取るか、垂れ下がらないようしっかり巻くなどさせましょう。
注意ポイント5「手すりから身を乗り出さない」
手すりから身を乗り出していると、隣のエスカレーターや天井に頭を挟んで大怪我することもあります。身を乗り出すことの危険性について伝え、エスカレーターに乗るときには安全な乗り方を心掛けるよう教えましょう。
注意ポイント6「しゃがんだり、座ったりしない」
エスカレーターでしゃがんだり座ったりしていると、足が引き込まれてしまう危険があります。また、手がステップに近くなるため、手の指が引き込まれてしまう危険もあります。
注意ポイント7「ステップとステップの境界線に足を乗せない」
乗り口付近など段差がない状態のときにステップの境界線に足を乗せていると、段差ができたときにバランスを崩して転倒・転落する危険があります。
子供のエスカレーター事故を回避するために親が注意したいこと
続いて、エスカレーター事故を防ぐために保護者が心掛けたいことをご紹介します。
親が注意したいこと1「子どもひとりで乗せない」
エスカレーターには、極力子どもひとりでは乗せないようにします。動いているエスカレーターの上は想像以上にバランスを崩しやすいため、転倒や転落の危険が大いにあります。特に幼児は抱っこや手をつなぐなどして、必ず大人のそばから離れないようにすべきです。
親が注意したいこと2「エスカレーター付近で子どもを遊ばせない」
エスカレーターの手すり部分を触って遊んでいて指を挟まれたり、エスカレーターを逆走しようとして転んだりといったことが考えられます。エスカレーター付近では、子どもを遊ばせないよう注意します。
親が注意したいこと3「ベビーカーを乗せない」
ベビーカーに子どもを乗せたままエスカレーターを使うと、バランスが取りにくく大変危険です。
ベビーカーでのお買い物については、以下の記事で詳しくご紹介しています。ぜひこちらもあわせて読んでみてください。
ベビーカーでエスカレーターに乗っても大丈夫?お買い物中に注意すること | 売場の安全.net
https://www.royal-co.net/column/shopping-children-qa/get-on-escalator-stroller/
場所別・エスカレーターに乗るときの注意ポイント
お子さんと一緒に利用する機会が多い場所について、エスカレーターに乗るときに注意したいポイントをまとめました。
駅・空港のエスカレーター
通勤客が多い駅のエスカレーターは、混雑が予想される上、急ぎ足で利用する方も多いため大変危険です。通勤時間帯を避ける、エスカレーターの利用を避けてエレベーターや階段を利用するなどして、危険を回避しましょう。
また、夜の時間帯はお酒に酔った利用客にも注意です。泥酔してふらふらしていたり、子供に突然話しかけてきたりすることがあるので、明らかに酔っているような様子が見られる人とは一定の距離をとったほうが賢明です。
新幹線の停車駅や空港のエスカレーターの場合は、スーツケースなどの大きな荷物を持った利用客が多い点に注意が必要です。子供が前の人の荷物に手を伸ばすことがないよう、大人が前に乗ることをおすすめします。
デパートなどの商業施設のエスカレーター
デパート(百貨店)やショッピングモール、大型スーパーなどの商業施設は、幅広い年齢の人が利用します。おもちゃや子供服を取り扱うお店の近くにあるエスカレーターはやはり子供が多いので、子供同士がぶつかるなどのトラブルが起きないように見守りましょう。
子供自身も気分が高まっている場合が多いので、エスカレーターで走ったり身を乗り出したりしないよう、事前にしっかり言い聞かせておくと安心です。
病院のエスカレーター
大規模な総合病院では、病院内にエスカレーターが設置されていることがあります。病院内のエスカレーターは、怪我や病気をしている方やご高齢の方、妊娠中の女性などが利用することが多いものです。子供自身が怪我をしないように気をつけることはもちろんですが、それ以上に周りの方にぶつかったり迷惑を掛けたりしないように注意しましょう。
まとめ
今回ご紹介したような注意点は、エスカレーターに乗る際のマナーや注意点として広く知られているものばかりです。しかし、小さいお子さんやエスカレーターに乗る機会が少ないお子さんに対しては、基本的なマナーもしっかり説明してあげなくてはいけません。子供のエスカレーターによる事故を予防するため、ルールやマナーをしっかり教え、一緒に乗るときには危険のないよう見守りましょう。