耐荷重についてに知りたい!DIYで壁収納を作る際に注意するポイント
2019.07.08子どもを事故から守るためにここ最近、流行りのDIY。DIYとは「Do It Yourself」の頭文字を取ったもので、自分自身でさまざまな家具や小物などを作ることを指します。好きな色、好きなデザイン、好きな大きさで家具を作れるので、インテリアにこだわりがある方にぴったりです。
そんなDIYで家具を作るとき、安全対策の上で注意したいポイントが「耐荷重」です。特に収納家具を作る場合は、耐荷重をしっかり考えなければ、家具が重さで倒れたり破損したりしてしまいます。
以下では、安全対策における耐荷重の考え方や、DIYの際の注意点などについてご紹介します。
耐荷重とは?
耐荷重はその名のとおり、「耐えることができる重さ」のことです。
たとえば平坦な地面にものを置く場合、常識的な重さであれば、問題なくそれを置くことができます。しかし、2点で支えられた板の上にものを置くとなると、板の強度や載せるものの重さによって、板が折れたり、たわんだりします。
この、「破損せずに耐えることができる重さ」のことを、耐荷重と呼びます。
家具の耐荷重についての考え方
収納家具の各棚の耐荷重が30kgの場合、それぞれの棚に30kgの重さのものを置くことができます。基本的に、30kg載せたら壊れる、ということはなく、破壊する荷重の何割かの値を「安全荷重」として耐荷重値とするメーカーが多いです。
ただし、これは均等に荷重がかかる場合の話です。置き方によっては30kgのものであっても、棚板にたわみや割れが生じ、家具や棚に載せたものが破損してしまうこともあります。
たとえば、棚の真ん中だけに重たいものを載せるなどして棚板の1点に荷重が集中している場合は危険です。ものが均等に置かれ棚板全体に荷重が分散している場合は問題ありませんが、1点に重さが集中していると、その部分が大きくたわんだり割れたりすることがあります。
ほかにも、重いものを上の段に置くこともNGです。重いものを上に置くと重心が高くなって、バランスが不安定になり、家具が転倒しやすくなります。
また、すべての棚板に耐荷重ぎりぎりのものを載せることも、避けましょう。
安全荷重・静止荷重などの表記も
耐荷重は、製品によっては「安全荷重」や「静止荷重」などの表記が用いられている場合があります。
安全荷重とは、安全のため実際の耐荷重から一定率で低減したもののことです。耐荷重と同じ意味合いで用いられていることもあります。
静止荷重とは、ものが静止した状態を想定した耐荷重のことです。上に載せたものを頻繁に移動するような場合は、静止荷重の範囲内の重量でも破損などが起こる可能性が出てきます。
DIYで壁収納を作る際に注意するポイント
DIYでは、壁に棚板などを設置して収納スペースを作る手法が人気です。人気の理由は、少ないスペースを有効活用できるという点にあります。
しかし、この壁収納に挑戦する場合も、耐荷重に注意が必要です。
壁の耐荷重はどれくらい?
一般的に、壁の耐荷重は壁1枚あたり10kg程度と考えられています。
そのため、長いネジなどで壁の裏側の下地に固定しない簡易的な壁収納の場合、棚の耐荷重は10kgとなります。これ以上耐えられることもありますが、無理をすると壁に取り付けた収納家具が壊れるだけでなく、壁がたわんでくる可能性があります。
安全対策を考えるのであれば、収納家具自体と載せるものとを合わせた重量が10kg以内で収まるようにしましょう。総重量が10kgを超える場合は、収納家具を複数の点で、壁の下地までより深くしっかりと固定する対策をとるべきです。
DIYで作る収納家具の耐荷重は何で判断すればいいの?
市販の収納家具の場合は、棚全体や棚1つあたりの耐荷重があらかじめ設定されていますが、壁収納をDIYする場合の耐荷重は、壁に取り付ける金具で決まります。
棚受け金具などには、必ず金具1つあたりの耐荷重、もしくは安全荷重が設定されています。たとえば、1つあたりの安全荷重が8kgの金具を2つ使用してウォールシェルフを設置した場合、16kgまで載せることができます。
ただし、この場合も収納家具自体の重さを差し引く必要があります。上記のウォールシェルフの棚板の重さが2kgの場合は、棚板の上に載せられるものの重量は16-2で14kgです。
壁の裏側の下地に収納家具を固定する際のポイント
では、壁の裏側の下地に固定する際には、どのような点に気をつけるべきなのでしょうか。
石膏ボードの壁にそのまま釘やビスを打つのはNG
一般的な住宅の9割以上で、壁に石膏ボードが使われています。壁紙の内側に石膏ボードがあり、そのさらに内側には、間柱と呼ばれる木材が等間隔に入っています。
間柱がない部分は空洞になっています。石膏ボードは丈夫で火に強いですが、衝撃には弱くもろいため、ネジ止めをしようとしても壁が崩れてしまい、ビス止め固定することができません。
棚をしっかり固定するためには、間柱の上に釘やビスを打つ必要があります。そのため、DIYで壁収納を作る前に、壁の裏側の間柱の位置を特定する作業が発生します。
石膏ボード壁の間柱の位置を探す方法
間柱の位置を特定するには、3つの方法があります。
1つ目の方法は、ドアをノックするようにして壁を叩き、音で判断するというやり方です。コンコンという軽い音がした場合は間柱が入っていない空洞部分、ペチペチという詰まったような音がした場合は間柱などが入っている部分だと考えられます。
ただし、DIY初心者の方が音で聞き分けるのは難しいでしょう。他の方法の補助として用いることをおすすめします。
2つ目の方法は、下地センサーや下地チェッカーと呼ばれる道具を使う方法です。これらの道具はホームセンターやネットショップなどで購入することができます。
下地センサーを壁に当ててスライドさせていくことで、間柱のある位置を調べることができます。道具さえあれば誰でも手軽にできる方法ですが、センサーの精度によっては検知が外れる可能性もあることがリスクといえます。
3つ目の方法は、下地探し針や虫ピンなどの細い針を壁に刺して確かめる方法です。
間柱がある場所に刺した場合は間柱部分に針があたって止まり、奥まで刺すことができませんが、間柱のない空洞部分に刺した場合は手応えがなく奥まで刺さり、針の先に石膏の白い粉がつきます。
間柱の手応えを確かめることができるため確実に間柱の位置を特定できる方法ではありますが、壁に小さな穴が空いてしまうことがデメリットです。
それぞれの方法にメリット・デメリットがあるため、下地センサーや壁ノックで大体の位置を予想した上で、下地探し針などを刺して確かめる、などのように複数の方法を併用して間柱の位置を特定するのが良いでしょう。
間柱がない場所に設置するならアンカーを
間柱がない場所に壁収納を設置したい場合や、間柱の位置を調べずに設置したい場合には、ボードアンカーやトグラーアンカーを使用するという手があります。
ボードアンカーには下穴を開ける必要があるものとないものがあり、対応している石膏ボードの厚さもものによって異なります。アンカーにも耐荷重が設定されていますので、ご自宅の壁の厚さや設置したい収納の重量などに合わせて選んでみてください。
壁の下地が合板やコンパネならそのままビス止めしてOK
なお、壁の下地が石膏ボードではなく、合板やコンパネの場合もあります。合板やコンパネは石膏ボードに比べて強度があるため、間柱を探したりボードアンカーを使ったりする必要がなく、そのまま釘やビスを打つことができます。
一戸建ての場合は、まずは家を建てた際の工務店に「壁の下地に何を使っているか」を確認してみると良いでしょう。
まとめ
今回は、家具や壁収納をDIYするなら知っておきたいポイントをご紹介しました。
市販の家具に耐荷重が設定されているのと同じく、DIYで使用する棚受け金具やアンカーなどのパーツにも耐荷重が設定されています。耐荷重について正しく理解し、許容範囲内で使用をしないと、せっかく作った壁収納が壊れてしまったり、壁にダメージが出たりする恐れがあります。
DIYした壁収納を使用する際は耐荷重などを意識して、長く使えるように正しく使ってくださいね。